生活者にとって怖いものの一つは、いわゆる「空き巣」などと呼ばれる住宅侵入盗。家の中にある大事な財産を奪われてしまい、時には家主や家族が危険な目に遭うおそれも。招かざる相手の侵入をできるだけ防ぎ、盗難被害から自分たちの身と財産を守るには、いったいどうすればよいのでしょうか。
防犯の備えは、どんなに入念におこなっても「これでもう十分」ということはありません。犯罪には常に新たな手口が生まれますし、それに伴って防犯対策も進化していくからです。防犯のプロである藤滿弘さんに、比較的入手しやすく素人でも簡単に扱える、侵入盗対策の防犯グッズを教えてもらいました。
防犯グッズ[ドア編]
・施錠忘れ防止鍵
「鍵をかけると表示窓の色が変わって施錠したことを知らせるグッズです。鍵の頭部に簡単に取り付けられます。施錠・解錠の状態がひと目でわかるため、外出した際に『鍵をかけたかどうか不安になって自宅に戻ってしまう』という人には、ぜひお勧めします」

▲施錠忘れ防止鍵
・サムターン回し防止カバー
「ドアの内側に付いている鍵の解錠・施錠をするツマミを『サムターン』といいますが、扉の隙間や郵便受けから手や器具を入れてサムターンを回すことで侵入する『サムターン回し』は窃盗犯が用いる手口の一つ。これを防ぐためのグッズがサムターンに取り付けるカバーです。カバーに暗証番号を入力しないとサムターンが動かないタイプもあり、家族の徘徊防止にも用いられています」

▲サムターンカバー
・スマートロック
「ホテルやオフィスなどでも導入が進んでいるようですが、専用アプリを入れたスマートホンやICカードを鍵の代わりにして施錠・解錠するのがスマートロックです。『鍵をなくした』と慌てる心配がなくなるうえ、鍵の使用期間・使用回数の制限を設定できる利点も。工事不要で扉に設置できるタイプもあります」

▲スマートロック
防犯グッズ[窓編]
・窓用補助錠
「補助錠は、サッシ窓に元から付いている鍵(クレセント錠)を解錠されても窓が開かないようにする役割があります。ツマミを回すだけでサッシ窓のレールに固定できて不要になったら簡単に取り外せ、幼児やペットの安全用に使われるケースも。両面テープで窓枠に取り付けるタイプや、サッシに穴を開けてネジで固定するタイプもあります」

▲窓用補助錠
・窓ガラスアラーム
「窓のガラス部分に衝撃を受けた際、窓を開けた際に、大きな警報音を発して不審者の侵入を知らせる装置。自分で簡単に取り付けられるタイプのほかに、警備会社などが設置してくれる本格的なタイプもあります」

▲窓ガラスアラーム
防犯グッズ[その他編]
・警報機能付きセンサーライト
「庭や敷地内の通路を照らすセンサーライトに警報器を組み合わせた防犯グッズです。警報器に連動させたボタンを押して、警報音と光を発することもできます。光だけを発するタイプ、警報音だけを発するタイプもあります」

▲左奥/警報器兼ライト 右奥/警報を鳴らす押しボタン 手前/センサー
・防犯ブザー
「防犯ブザーは、街頭犯罪に対する護身用グッズとしてよく使われますが、不審者が家の敷地内に侵入してきた時に警報を発するのにも役立ってくれます。ライト機能が付いているタイプは、防災用グッズにもなります」

▲防犯ブザー
次の最終回「防犯その5」では、アパートやマンションなど「集合住宅向けの防犯対策」を紹介します。
取材ライターのつぶやき
「以前なら、かならず『鍵がギザギザのあるタイプなら、ピッキングに強い、穴の並んだディンプル鍵に変えてください』と勧めていたのですが、近年は鍵自体の性能が向上したうえ、高度な技術を要するピッキングより、バールによるこじ開けなど強引な手口の窃盗犯が増えている状況もありまして」と、藤滿さんがおっしゃっていました。窃盗犯罪の実情に合わせて、防犯対策グッズのトレンドが変わっているのだと、実感しました。
今回のSpecialist
公益社団法人日本防犯設備士協会認定 総合防犯設備士
藤滿 弘(ふじみつ ひろむ) さん

特定非営利活動法人福岡県防犯設備士協会事務局長。
総合防犯設備士の資格のほか、福岡県警察と特定非営利活動法人福岡県防犯設備士協会が委託する「防犯設備アドバイザー」の資格を保有。「安全・安心なまちづくり」を目指し、講演、テレビ出演、防犯診断、防犯設備の設置指導等を通じて、生活者の防犯意識向上のための活動をおこなっている。
http://www.fukuoka-bosetsukyo.jp/

