【column】“わが子の受験”の備え方|サポートのコツとポイント

2025.10.08 | 暮らし全般

受験情報に詳しい升元圭一郎さんに教えてもらう「“わが子の受験”の備え方」。第2回目となる今回は、「サポートのコツとポイント」として、保護者に何ができるのかをお伝えします。


学校の情報を集める

子どもの志望校が見えてきたら、その学校について、保護者も知識をもっておいたほうが安心です。情報を集める際には、学校のホームページ(以下、HP)や入学案内など、その学校が公式に出している情報にあたることが基本。年度によって、入試方式や募集人数が変更になったり、新たな学部や学科が設置されたりと変化があるため、見ている情報が最新のものであるかを必ず確認する必要があります。

「わからないことがあれば、電話や学校HPにある問い合わせフォームから尋ねても大丈夫。親切に案内してくれます。なかには、WEBで面談ができる学校もあります。積極的に活用して、正しい情報を集めてください」と升元さん。

個人的なことで志望校にコンタクトをとっていいのか、ためらう方も多いでしょうが、問題ないとのこと。専用窓口を設けている学校もあるので、まずはHPを確認してみましょう。

<POINT>
情報はHPや学校案内など公式のものから入手して、正しい知識を得よう。聞きたいことがあれば、直接、志望校に連絡をしても問題ありません。

現地に行ってみる

中学、高校、大学を問わず、学校は受験生に対して、説明会を実施します。「体験入学」や「オープンスクール」、大学では「オープンキャンパス」というイベントとして行われるケースが多く、説明会のほかに授業や部活動体験、在校生による校内ツアーなども開催。学校の個性を肌で感じられる機会になっています。

子どもが大きくなると、保護者は参加を遠慮しがちですが、升元さんは「学校見学のイベントには、ぜひ、親御さんも参加を!」と呼びかけます。

「まさに百聞は一見にしかずで、学校の雰囲気は行ってみないとわかりません。先輩や先生たちの様子、施設や設備の充実度、学校の広さや校舎の感じなど、ぜひ親子で見てほしいですね。子どもと親とで視点が違うため、親も一緒に体感することでよいアドバイスにつながり、子どもの興味がどこにあるかを知ることもできます。

自宅からのアクセスや学校周辺の環境なども、確認してみてください。通学をイメージしやすくなり、子どものモチベーションにもつながります。
実際、親子で参加するご家庭は多いですよ。参加したら受験しなければならないルールなんてありませんから、気軽に行ってみてください」。

大学受験で推薦入試を考えている場合は、オープンキャンパスへの参加が必須となっていることがあります。気になる学校があるのなら、高校2年生までに参加しておいたほうが安心。保護者からも声をかけて、参加を促してあげるといいでしょう。
保護者が参加するときの服装は、ラフなスタイルで大丈夫。特に大学の場合は、キャンパスが広いケースも多く、たくさん歩くことになるので、歩きやすい靴で行ったほうがよさそうです。

参加には、事前予約が必要なことも多いため、早めにHPを確認しておくこと。複数の学校を見学してみると、それぞれの特徴が見えてくるはずです。

学校生活を送りながらの受験準備は、子どもにとって大きな負担です。スケジュール管理など保護者にできることはサポートしてあげながら、親子で情報共有することをおすすめします。

<POINT>
オープンスクールはぜひ保護者も一緒に参加して、親子で学校の情報を共有しよう。 

模試の結果を親はどう見るべき?

受験が近づくにつれて、模試の回数も増えてきます。よい結果なら何の問題もないのですが、悪いと口を出したくなったり、不安になったり。保護者の心にも波風が立ちます。そんなときの向き合い方について、升元さんはこうアドバイスします。

 「保護者は、模試の結果を“現状把握の材料”としてとらえればいいと思います。見せてくれたのなら、まずは『見せてくれて、ありがとう』と言ってあげてください。結果が悪いと、いろいろ言いたくなるかもしれませんが、そこは我慢。『まだまだ伸び代があるな』と、ポジティブな言葉に変換してあげるといいですね。

そして、志望校に届いていない場合は、ほかにどんな学校があるのかを調べてみるといいと思います。調べたことを子どもに伝える必要はありません。ほかに選択肢があることを知っていれば、親の気持ちにもゆとりができるので、受験校を変える必要に迫られても、慌てずに子どもをフォローできます」。

親が感情的になると、子どもはさらに落ち込み、やる気をなくすことも多々あります。受験は、子どもにとって大きなプレッシャーです。負担を感じながらも、乗り越えようと努力することで、子どもは成長します。結果がいいに越したことはありませんが、保護者は冷静に、子どもの成長を支える側に回ること。いまの努力を認めて、見守っていくことを心がけましょう。

<POINT>
模試の結果は、子どもの現状を把握するために活用しよう。不安があるときは、保護者が先にほかの選択肢を見ておくと、あとで慌てずに済む。

取材ライターのつぶやき

模試の結果に一喜一憂してしまいますが、保護者は俯瞰した立場で見るべきですね。まずは子どもの努力を認めること。そして、志望校に届かなかったときはどうするかを早いうちから考えておくと、実りあるアドバイスにつながるのだと感じました。

 

今回のSpecialist 升元 圭一郎(ますもとけいいちろう) さん

クリエイティブ・ディレクター
大手広告代理店で大学を中心とした教育機関の広報やコンサルティング、ブランディング事業などに従事。独立後も、各種教育関連の企画・広報に携わり、受験生や保護者に有益な情報を発信しています。


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