子どもは食事や入浴、遊びなど、家の中でさまざまな経験をして成長していくもの。一方で、心身の発達とともに家庭で思わぬ事故にあう恐れも出てきます。
子育て中の家族が安心してくつろげるインテリアをつくるアイデアを、作業療法士でインテリアコーディネーターの松本理絵さんに聞きました。
第1回目は「リビング編」です。
住まいで起きやすい事故とは

消費者庁が令和2年度に行ったアンケート調査によると、子育て中の4人に1人は家の中で事故または「ヒヤリ・ハット」の経験あり。家庭内で起きた事故は「階段からの転落」が1位ですが、キッチンやリビング、寝室、ベランダなど住まいのあらゆる場所で事故が起きる可能性があります。
0歳から6歳(小学校入学前の未就学児)の子どもに、予期せず起こりやすい事故の例
・窒息・誤飲事故/寝具やタオル、ブラインドのひもなどによる窒息。化粧品や医薬品などの誤飲。
・転落、転倒事故/階段やベランダからの転落。ベッドやテーブルなどからの転落。
・水まわりの事故/浴槽での溺水
・やけど/テーブル上の飲み物や家電製品、暖房器具などによるやけど。
・その他の事故/刃物によるけが、家具による打撲、ドアや窓で手指をはさむ事故など。
(こども家庭庁「こどもを事故から守る!事故防止ハンドブック」より抜粋)成長過程にある子どもは、突然思わぬ行動をしてケガややけどを負うことがあります。住まいのインテリアを見直して、少しでも事故を防ぐ環境をつくりましょう。
リビングは「すっきり」が基本

家族だんらんの場であるリビングルームで、事故を防ぐにはどうすればよいのでしょうか。
「お子さんが小さいうちは、リビングにできるだけ物を置かないことをおすすめしています。例えば、ソファの前に低いテーブルを置く方は多いと思いますが、このテーブルがあることでリビングは狭くなってしまいます。赤ちゃんの成長のためには動き回るスペースがあった方がいいし、物が少ない方が保護者の目も届きやすくなります。また、歩き始めたばかりの子どもが転んで、テーブルに頭をぶつけることもあります。ダイニングテーブルについては『子どもが頭をぶつけないように』と角が丸いものを選ばれる方が多いですが、実はソファの周りにある低いテーブルの方が危険度は高いと思います」と、松本さん。
子どもの手が届きやすい高さのテーブルをなくすことで、誤飲ややけどのリスクも減らすことができそうです。子どもがしっかり歩いて、会話ができるようになってから、家具を足していくのも一案ですね。
小さな段差をなくす、タイルカーペット

転倒や騒音対策のために、ビニール製のマットを使っている家庭も多いのでは。手軽な反面、掃除がしにくかったり、段差で子どもが転んでしまったりすることもあります。
「子どもの転倒に備えて、ソファの前にラグを用意する方も多いですね。でも、私のおすすめは部屋全体にタイルカーペットを敷くこと。段差もできにくく、赤ちゃんや子どもが触れる素材としても良いと思います。カーペットはフローリングよりも掃除がしにくいのではと思われるかもしれませんが、実は、ホコリが部屋中に広がることを防いでくれます」。
タイルカーペットは動線部分を中心に汚れていきますが、一部分だけ取りかえることができるので子育て中にも気兼ねなく使えます。
スリッパや靴下が嫌いな子も、カーペットなら冬でも温かく過ごせますね。
子どものおもちゃはどうする?

「朝はきれいに片づいていたリビングが、夜は子どものおもちゃで散らかってしまう」。「リビングが子どものおもちゃ置き場になってしまった」。子育て中にはありがちな状況ですが、事故を防止するためには床やテーブルの上にはできるだけ物を置かないことを心がけたいものです。
「リビングには、できるだけおもちゃを置かず、いま遊んでいる3つだけにしぼるなどルールを決めるようアドバイスをしています。そして、リビングにおもちゃを置く場所を決めて、遊び終わったら必ずその場所に戻すこと。残りのおもちゃは子ども部屋などに置いて、できるだけ片付いた状態をキープした方がいいと思いますね」。カラフルなおもちゃがあちこちに置いてあると色数が増えて、リビングが散らかって見える原因にもなります。大人にとっても、くつろげる空間を目指しましょう!
取材ライターのつぶやき
子どもが小さい頃は、リビングが生活の中心になりがちです。わが家の子どももローテーブルで頭を打ったり、置き忘れたハンドクリームでいたずらをしていたり、いろいろ危ないことがあったなあと思い出しました。成長と共に子どもの持ち物はもっと増えていくので、小さい頃から物の置き場所をちゃんと決めておくべきだったと反省しています。
今回のSpecialist 松本 理絵(まつもと りえ) さん

「広島一敷居の低いインテリアコーディネーター」として、新築マンションの入居前内装、建売戸建ての窓施工含むコーディネート、一般・プロ向けのインテリア講座などで幅広く活躍。インテリアコーディネーター、二級建築士、作業療法士。
INdesign 松本 理絵https://www.miyakagu.com/

