2023年に「新居で使いたい便利家電」というテーマで、5つの記事を公開しました。(過去の記事はこちら)
2年ぶりとなる今回も、自宅に300を超える家電を所有し、実際に使用しながら「家電の便利さ」を各種メディアで伝えている、家電ライターの田中真紀子さんにご指南いただき、いま知っておきたい家電情報を全4回でお届けします。
2回目以降のテーマは、みんな知りたい!「お手入れしやすい家電」です。
※価格は執筆時、編集部調べ
お手入れしやすいエアコンとは
エアコンはきちんとお手入れをするかしないかによって、電気代や空気の質が大きく左右するため、「お手入れのしやすさ」は重視したいポイントです。中でも、もっとも頻繁にお手入れしたいのは、エアフィルター。
田中さん曰く「空気の通り道であるフィルターのお手入れを怠ると、ホコリが溜まって冷暖房効率が悪くなり、電気代が高くなってしまいます。ダイキンの調査によると、フィルターを1年間お手入れしないと消費電力量(電気代)が約25%アップするとされています」。
(外部リンク/ダイキン工業株式会社 節電効果検証結果)
上記サイトで推奨されるフィルターお手入れの頻度は2週間に1回ですが、最近は多くの機種に「フィルター自動お掃除機能」が搭載されています。さらに近年は、取り除いたホコリを自動で屋外に排出するものや、ダストボックスが大きく、1年に1回捨てればいいものなども登場しているそうです。
特に最近増えているのが、吹き出し口のフラップやルーバーが取り外せて、奥の方まで掃除できるタイプ。今まで手が届きにくかったところまで掃除ができるので、拭き掃除もラクにできそうです。
「一方、熱交換器は自分でお手入れできない場所ですが、メーカーによっては熱でカビ菌を除菌したり、結露水でカビやホコリを洗い流し、イオンの力で菌の働きを抑えたり…などの機能を搭載したものもあります。エアコン内部にカビが繁殖すると、エアコンの風とともに室内に撒き散らしてしまうことになり、最悪の場合、健康被害を招くおそれもありますので、こちらもチェックしておきたいですね」と田中さん。
多機能なエアコンが多いだけに、どんな機能があるのかという点は、しっかり押さえておきましょう。
エアコン購入を検討する際のポイント
どの部屋に設置するかによって、エアコンを選ぶポイントが変わってくると田中さんは話します。「キッチン近くのリビングに設置したエアコンは、フィルターや内部に油が付着しやすいため、フィルターは撥油加工されたものや洗いやすいもの、また熱交換器は油汚れなどを浮かせて落とせる加熱洗浄や、凍結洗浄機能が搭載されているといいと思います。
意外と気にしたほうがいいのは、寝室のエアコン。夜間も使用する場合、無防備な呼吸でホコリやカビを吸い込みやすく、空気環境が悪いと睡眠の質が悪くなると言われています。寝室はリビングに比べて部屋が狭く、手頃な価格のものを選びがちですが、できるだけお手入れしやすいものを選ぶといいでしょう」。

とはいえ、フィルター自動お掃除機能付きのエアコンは、エアコンのクリーニング代が高くなるといったデメリットもあるそうです。「そのため、できるだけエアコン内部を汚さず、エアコンクリーニングの頻度が少なくて済むようにすることも大切。カビを繁殖させないためには、使用後必ず内部クリーン運転を行い、湿気を飛ばすのも有効。フィルターの定期的なお手入れはもちろん、部屋にホコリを溜めすぎない(空気清浄機などを使用するのも手)など、清潔に保つようにしましょう」。
上記を踏まえ、田中さんがおすすめする“お手入れしやすい”エアコンを3つご紹介します。
〈三菱電機〉霧ヶ峰Rシリーズ
▲室内機がコンパクトなRシリーズ。外せるパーツが多く、通常手が届きにくい場所もお手入れできます。写真は主に14畳・207,530円(価格は編集部調べ)(画像提供/三菱電機)
高さ255mm(据付スペース込みで295mm)と、狭いスペースにもすっきり設置できるコンパクトさ。赤外線センサーが体感温度を測って冷やしすぎを防ぎ、2カ所にいる人それぞれに快適な気流を届ける高機能モデルです。
清潔性能も高く、「自動フィルターお掃除機」や「自動内部洗浄」、汚れにくい「よごれんボディ」など、きれいを保つ機能に加え、前面パネルやフラップ、フィルターおそうじメカなど、自分で外して掃除できるパーツも多数。フラップを観音開きにすれば通風路内部に手が届きます。またフィルターおそうじメカを取り外せば熱交換器が掃除機のブラシで掃除できるため、こまめにお手入れすれば常に清潔に保てます。
▲写真はZシリーズにおいて、フィルターカセットを取り外した後、 お掃除をしている様子(画像提供/三菱電機)
「吹き出し口のフラップやルーバーが外せるものはあっても、フィルターカセットがまるまる外せるエアコンはなかなかありません。熱交換器が露出されるので、目で見ながら掃除ができ、内部の汚れが見えないという不安も解消されそう。エアコンクリーニングの頻度も減らせそうな1台です」。
東芝ライフスタイル 大清快V-DRシリーズ

▲プラズマ空清を搭載した東芝ライフスタイルのルームエアコン「RAS-V402DR」(主に14畳) 350,000円前後
清潔性に徹底的にこだわったフラッグシップエアコン。「自動フィルターお掃除」の機能自体も高機能で、フィルターの両面をブラシが自動で掃除し、ダストボックスに溜まったホコリは直接掃除機で吸い出せるため、ダストボックスを外す手間もありません。フィルター自体にも、油がつきにくい「抗菌仕様撥油エアフィルター」を採用しているほか、送風ファン、上下ルーバー、リモコンは抗菌仕様。さらに静電気の力で空気の汚れを取り除く「プラズマ空清」と熱交換器をUV照射する機能も搭載!特許技術で手間なく空気やエアコン内部を清潔に保ってくれます。
○画像・イラストはイメージです。
「お手入れが簡単なのもさることながら、そもそも汚れがつきにくいという仕様がとても便利。エアコン内部はもちろん、部屋の空気の汚れも「プラズマ空清」できれいにしてくれるので、気になるカビ対策が二重にできるのもうれしいですね」と田中さん。
お手入れを機械任せにできる部分が大きいことを考えると、お値段に見合う満足感で納得できる方も多いかもしれません。
ハイセンス ルームエアコンSシリーズ
▲ブラックカラーが映えるハイセンスのルームエアコンSシリーズ。写真は主に10畳・89,800円(画像/筆者撮影)
いわゆるエントリーモデルながら、熱交換器の「解凍洗浄機能」を室内機と室外機に搭載。ボタンを押すと徐々に熱交換器に霜がつき、汚れを浮き上がらせたところで一気に解凍して洗い流します。「フィルター自動おそうじ機能」はついていませんが、フィルターにはっ水加工が施されているため、サッと洗って乾かせば簡単にお手入れも可能。風量は6段階からきめ細かく選べるほか、スマホと連携して外出先からオンオフの操作も可能です。
▲リモコンにある「解凍洗浄」ボタンを押すと、見る見る霜がつき、降り積もったように白くなりました(画像/筆者撮影)
▲10分を過ぎたころ、一瞬で霜が溶け、汚れと一緒に流れていきます(画像/筆者撮影)
現在、息子さんの部屋にこのエアコンを設置している田中さん。「エアコンには珍しい黒のラインナップがあり、プラスチック感を感じさせないヘアライン加工とマットな質感で、部屋がカッコよく引き締まった印象に。構造がシンプルなので、お手入れしやすいのも気に入っています。性能にこだわり、日本向けに開発されているので安心感もあります」。
エアコンといえば白のイメージでしたが、インテリアにこだわる方に、黒のエアコンはとても重宝されそうですね。
取材ライターのつぶやき
基本、なるべく必要のない掃除はしたくないタイプなので、少々高くなっても、自動できちんと掃除をしてくれる機能にとても心惹かれました。高齢の方などは、エアコンの掃除は高い場所にあり大変なので、自動お掃除機能がついたものは今後、外せない機能になりそうだなと思いました。
今回のSpecialist 田中真紀子(たなかまきこ) さん

最新家電の情報をいち早く入手し、雑誌やウェブなどで紹介している家電ライター。
今まで執筆に携わった家電数は1500近くにおよび、最新家電をストックする部屋もある自宅には、常時300を超える家電を所持。実生活で使用しながら主婦目線で執筆し、家電の魅力を幅広く伝えている。
メディアやメーカーからの取材・監修に加え、専門家としての記事監修、企業コンサルタント、アドバイザー業務もこなしている。
TikTok「家電のまきこさん」も定期更新中。
田中真紀子オフィシャルホームページhttps://makiko-beautifullife.com/

