根が主食のニンジンは、緑黄色野菜。近年はミニニンジンの種など、プランターでも栽培しやすい品種が家庭菜園に人気です。
種まきは春まきと夏まきがあり、間引きを行います。また、発芽させるには土づくりが大きなポイント。ニンジンの種まきから収穫、害虫について紹介します。
ニンジンの基本情報

学名:Daucus carota L.
和名:ニンジン
英名:Carrot
原産地・生産地:アフガニスタン
分類:セリ科ニンジン属
発芽地温:15~25℃
生育適温:20℃前後
ニンジンは、代表的な栄養素であるβカロテンをはじめ、食物繊維、ビタミンB2など、豊富な栄養素をたっぷりと含んだ緑黄色野菜です。
皮の周りに多く含まれるβカロテンはビタミンAに変わる性質があるため、抗酸化作用や抵抗力を強める効果が期待されます。
また、大切な栄養素は油と一緒に接種した方が吸収がよいため、炒め料理などにおすすめです。
ニンジンの栽培スケジュール
ニンジンの栽培スケジュールについて紹介します。
種まきは3月ごろ行う春まき、8月ごろに行う夏まきに分かれます。
地域によって多少ずれることがありますが、この時期の種まきが基本となる作型です。
春まき
種まき期:3月~4月
間引き:4月下旬~5月中旬追肥:5月
中耕・土寄せ:5月
収穫:1月上旬~2月下旬
夏まき〈初心者におすすめ!〉
種まき:8月
間引き:9月中旬~10月中旬
追肥:9月下旬~10月下旬
中耕・土寄せ:9月下旬~10月下旬
収穫:12月~2月下旬
春まきは発芽が早いですが、とう立ちと言って花が咲いてしまうことがあるため、初心者は失敗のリスクが少ない夏まきがおすすめです。
ニンジンに適した環境

ニンジンに最適な栽培環境を整えてあげることで元気に育成します。
ここでは、初心者でも上手に育てるためにはどのような環境が適しているかをご説明します。
日当たり・置き場所
日当たりと風通しのよい場所に置いて栽培します。
また、冷涼な気候を好む性質があり、20℃前後が生育適温です。
そのため、時期は春と秋が育成適期になります。
土づくり
プランターで栽培する場合、土は野菜用培養土でよいです。
種まきの2週間以上前に完熟堆肥、苦土石灰を用土によく混ぜ込んでおきましょう。畑など地植えする場合は、堆肥や元肥を入れる約2週間前に石灰を入れて耕します。
未熟堆肥は又根の原因になるので、完熟堆肥を使いましょう。
適したプランター
プランターでの鉢植えの場合、小さな「ベビーキャロット」は深さ15cm、スーパーでよく見かける「五寸ニンジン」は深さ25cm以上、横幅60cm以上のプランターがおすすめです。
根を深く張るため、深型のものを使用してください。
ニンジンの育て方

種まき
ニンジンの栽培はタネまきが重大なポイントです。
ちゃんと発芽できるかどうかはタネまきの仕方次第なので、正しい方法を覚えておきましょう。
プランターの場合
深さ1cmの溝をつくり、1cm間隔で種をまき、種が隠れる程度の土をかけ、手のひらで軽く押さえて、やさしく水やりをします。
地植えの場合
・ひとつの畝(うね:土を盛り上げた所)に20センチほど間隔をあけて、2列の溝をつくる。
・ニンジンの種を並べて置く。この時、2~3センチの間隔で置くと後から間引きの手間が省ける。
・0.5~1センチほど薄めに用土を覆って、タネを乾燥させないようにする。
・発芽するまで、1週間ほどは毎日水やりすること。
ニンジンは日光を感知しないとなかなか発芽しません。
そのため、種に光が当たりやすいように軽く土をかけることが大切です。
また、乾燥もニンジンの発芽の妨げになります。
地植えの場合は更に敷き藁などで乾燥させないようにするとよいでしょう。
もし、タネをまいて10日以上芽が出なかったなら、発芽に失敗したかもしれません。
そうなった場合は思い切って、種をまきなおすことをおすすめします。
水やり
植物の育成に水やりは欠かせません。
土が乾燥しないよう、タネまきから1週間ほどは、ジョウロなどで毎日水やりしましょう。
地植えの場合も雨が降らなければ、毎日水を与えます。発芽してからの育成後期は多湿にならないよう、土が乾いてから水やりするのがポイント。水はけの悪い畑は水の与え過ぎに注意しましょう。
間引き・追肥・土寄せ
育成中、3回に分けて間引きを行います。
・1回目…本葉が1~2枚になったら、込んでいる部分をすくうよう間引く
(短根種は1~5センチ間隔、ミニニンジンは1センチ間隔)
・2回目…本葉3~4枚のころ、葉同士が重ならない程度に間引く
(短根種は3~4センチ間隔、ミニニンジンは2~3センチ間隔)
・3回目…本葉5~6枚のころに間引く
(短根種は10~12センチ間隔、ミニニンジンは6~8センチ間隔)
土が乾いた状態だと間引きしにくいので、あらかじめ水やりしてから行いましょう。
雑草もしっかりと抜き取っておきます。
2回目と3回目の間引きした後に2週間ほど間隔をあけて、追肥します。
約1平方メートルに化学肥料約50グラムをまき、土とよく混ぜれば完了です。
追肥の際、根首に光が当たったり、外気に触れたりすると緑化や紫色に変色しやすいので、必ずニンジンの根が地上に出ないよう注意が必要です。
畝を軽く耕して株元に土寄せすることで、色が変わるのを防げます。
プランター栽培の場合、うどんこ病などの病気、土壌中のカビがあると悪臭を放ち腐ってしまう可能性があるため、古い土を使わず、毎回取り換えて土壌を清潔にしましょう。
病害虫
「キアゲハ」や「アブラムシ」の幼虫は見つけ次第駆除しましょう。
夜になると土から出て、葉をボロボロに食い尽くす「ヨトウムシ」は、昼は土に隠れてしまうため、苗元の土中を探します。
防虫ネットを用いて成虫の飛来を防ぐのも有効的です。
寄生されると黒葉枯病、つる割病などの土壌病害を引き起こす恐れがある「ネコブセンチュウ」の駆除は薬剤を使わない場合、対抗植物を植えることである程度の発生を抑えられます。
マリーゴールド、ハブソウやクロタラリアなどが、「ネコブセンチュウ」対策に有効でしょう。
▲害虫対策にもなるマリーゴールド
ニンジンの収穫方法

時期にもよりますが、タネまきしてから3か月ほど経つとニンジンの葉が茂ります。
その頃が収穫のタイミングなので、根が太ったものから収穫しましょう。
目安としては、地上部分に出ている根が4~5センチほどのものを少し掘ってみて、根元を確認するとよいでしょう。
根元を掘ってから、茎の下部分をまっすぐに上に引き抜きます。
ニンジンが成長し過ぎると裂根と言って根元が割れてしまうため、取り遅れには十分気を付けてください。
乾燥させないために収穫しない場合は彫った土を掛けて元に戻すことも忘れずに。
秋に貯蔵するなら、掘り下げたニンジンを1か所にまとめて、上から土を掛けておきます。
自分でニンジンを育てて、収穫まで楽しもう

ニンジンは初心者でも育てられる身近な野菜です。
自信がないという方は、プランターや牛乳パックなどでミニニンジン栽培から始めてみましょう。
たくさんの栄養がギュッと詰まったニンジンを調理するのはもちろん、生サラダでもたっぷりと味わってくださいね。

