【column】ディテールにもこだわって!配色テクニックと空間づくりのコツ

2023.10.25 | インテリア

おしゃれなインテリア、憧れますよね。ショップやカタログのコーディネートを見るとテンションが上がるのに、実際やってみるとうまくいかない…なんていうことはありませんか?インテリアの雰囲気を大きく左右するのは、実は「色づかい」。色づかいのルールを知れば、理想のインテリアはグンと実現に近づきます。
色の基礎知識とインテリアへの応用について、国際カラーデザイン検定1級などの資格を持ち、インテリアのカラーコーディネートについても教える「色のプロ」平井芳香さんに、教えてもらいました。

3回目は、ディテールを深めます。2回目(2回目にリンク)では基本の配色ルール「70:25:5」をお伝えしました。今回は、その色合わせのバリエーションがメインテーマ。基本の色合わせをマスターしたら、ちょっと上級の個性的な配色にもチャレンジしてみましょう。小物や照明のアイデアと合わせて、より完成度の高いインテリアを目指します。

おしゃれ度アップ!上級配色テクニック

全体にまとまりのある配色は安心感をもたらします。一方で、反対色やちょっとひねりのある色使いもステキですよね。ポイントは、ベースカラーとアソートカラーの選び方。ここでは「まとまり」「きわだち」の2つの配色テクニックをご紹介します。狙い通りの効果をもたらす、色選びの参考にしてみてください。

① まとまり配色…似た色でまとめた色使い

オレンジを基調に、オレンジの同系色である茶色やベージュでまとめたインテリア。武骨でマニッシュなスタイルに合わせ、渋めの色を多く使ったコーディネートです。
平井さんは「壁のベースカラ―(茶)とソファのアソートカラー(オレンジ)が同系色だから、まとまり感はバッチリ。アクセントカラーとしてグリーンを効果的に使っているのも特長です。観葉植物とクッションカバーに同じ色やモチーフ形を繰り返し使うことで、空間を引き締めつつ、統一感を演出しています」と解説します。
オレンジといっても、ポップな雰囲気のあるビビッドな色や、フェミニンな淡い色は使っていません。少しくすんだような、ヴィンテージ感のある色あいでまとめて、目指すスタイルの雰囲気を上手に作っています。

② きわだち配色…メリハリがある反対色(オレンジ⇔青・黄⇔紫)など、互いの色を際立たせる色を組み合わせた色使い

さきほどと同じ茶系の壁。でも、ソファの色と床のグリーンに赤いラグが効いて、エスニックな雰囲気に。「グリーンと赤は真反対の色。赤と茶色は同系色です。上でご紹介した『まとまり配色』の事例では、アクセントカラーだったグリーンを、この『きわだち配色』の例では、アソートカラーとして使っていますね。ベースカラーも茶色(壁)とグリーン(床)のツートーンで、上級者感あふれる色づかい。ドラマチックな空間になっています」と平井さん。

つまり、ベースカラーとアソートカラーを同系色にすれば「まとまり」、反対色にすれば「きわだち」と覚えておきましょう。細かなテクニックは他にもいろいろありますが、まずはこの2つのどちらを取り入れるかで、お部屋の印象はかなり変わってきそうです。

照明のカラーコーディネート

2枚の写真を見比べてみてください。ほぼ同じインテリアでも、照明の色によってインテリアの印象が全く異なります。1枚目の「昼白色」「昼光色」と言われる白っぽい光は、日中の活動や学習に適していると言われます。スッキリと目覚めた朝のような印象ですよね。2枚目の「電球色」と呼ばれる暖かみのある光は、食事やリラックスタイムに向いています。こちらはゆったりとした夜のひとときを連想させます。
「照明は用途やスタイルに合わせてお部屋ごとに変えるのがおすすめ。最近は調光できる照明器具が多いので、より手軽に照明をアレンジできます」と平井さん。調光機能のある照明であれば、同じ部屋でも昼光色と電球色を切り替えて起床と就寝、活動とリラックスのメリハリをつけることができます。ぜひ光の力を上手に活用してみてください。

また「新居では、『この部屋の、この光の感じが好き』というお気に入りの場所をぜひ見つけてください」と平井さん。窓から入る光は角度や色合いが季節によって変わります。冬の優しい光は、低い位置から差す分、部屋の奥まで届くもの。一方、夏のまぶしい日差しは、真上から降り注ぎ、屋根や植物の影をくっきりと映し出します。「季節ごとの光の変化は、住んでみないと分からないことのひとつ。まるで家族そのもののように、新たな発見を楽しみながら、新居での時間を大切にしてくださいね」。
1日、1シーズン、1年と、移ろいゆく光の色を感じるひとときが、家やインテリアへの愛着をより確かなものにしていくのかもしれません。

取材ライターのつぶやき

今回は、配色テクニック上級編に加え、ディスプレイや照明など、色が生きるインテリアづくりの事例をご紹介しました。
「色」と一言で言っても、家具そのものの色から、部屋全体に影響する照明の色までさまざま。その奥深さを感じつつ、できるところから色のチカラを取り入れてみたいと思いました。まずはソファカバーから始めてみようと思います!目指せ、おしゃれインテリア!

今回のSpecialist 平井芳香 さん

「色で女性を1人残らず幸せにする」をテーマに、パーソナルカラー診断、色のお稽古コース、資格コースなどの色彩講座をカルチャーセンター、オンラインレッスン(一部の講座)にて開催。A・F・T色彩能力検定1級、国際カラーデザイン検定1級。認定NPO法人色彩生涯教育(CLE)協会インストラクター。


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