【column】カラーで叶える!家族みんなが幸せなマイホーム

2023.11.29 | インテリア

おしゃれなインテリア、憧れますよね。ショップやカタログのコーディネートを見るとテンションが上がるのに、実際やってみるとうまくいかない…なんていうことはありませんか?インテリアの雰囲気を大きく左右するのは、実は「色づかい」。色づかいのルールを知れば、理想のインテリアはグンと実現に近づきます。
色の基礎知識とインテリアへの応用について、国際カラーデザイン検定1級などの資格を持ち、インテリアのカラーコーディネートについても教える「色のプロ」平井芳香さんに、教えてもらいました。

4回目は、家族それぞれの個性を大切にしつつ、それが調和したインテリアの在り方について考えます。きっとお悩みの方も多いテーマですね。色を使ったゾーン分けのコツや、大人と子どもの“コラボレーション”でつくるリビングをご紹介します。家族の「好き」が響きあう、調和と個性のベストバランスを極めましょう。

かつて鏡台は、ママの居場所だった

「少し色の話題とは離れますが、まずはパーソナルスペースの大切さを伝えさせてください」と平井さん。「みなさん、どこでスキンケアやお化粧をされていますか?」と尋ねます。
筆者もそうですが、間取りの都合上、洗面台やリビングテーブルがその場所という方も多いのではないでしょうか。平井さんは「確かに慌ただしい子育て中などは特にパパっと済ませがちな部分です。でも実は、自分らしくいるための大切なパーソナルスペース。ゾーン分けで最初に確保いただきたいのが、ここです」と断言します。

平井さん曰く「自分らしい空間は、自分の生き方を再確認できる、誰しもが必要な場所」。かつて定番の嫁入り道具だった鏡台は、実家を離れたお嫁さんにとって、貴重な「居場所」だったのかもしれません。自分と向き合うひととき、自分らしさを感じられる場所は、心の軸になる場所。他者との交流で、とても大切な概念でもあるパーソナルスペースについては、子どもにも教えていきたいことです。「まずは親御さんが、お手本としてパーソナルスペースを作ってみせてあげてください」と教えます。

ドレッサーは、写真のようにテーブル+鏡で自作してもOK。サイズも問いません。大切なのは①1回目の記事を参照して、妥協せず自分の好きなテイストと色あいにこだわること②家族との共有アイテムは極力置かないこと、の2点です。「どんなに小さなスペースでもいいから、自分だけの場所を作ってみてください」と平井さんは勧めます。

テクニックは、家族の「好き」を実現するために

パーソナルスペースを作る際も、また、それを部屋全体となじませるためにも、スタイルから色あい(カラーパレット)を決め、色あいからテーマカラーを決め、配色ルールに従って家具を選ぶ基本は同じです。
例えば1枚目の写真のような、フェミニンなスタイルと色あいでドレッサーまわりをまとめた場合、このようにドレッサーとベッド周りが同じスタイルであれば、問題なくなじむでしょう。

では、もし次の画像のようなベッド周りをご希望の場合は、どうでしょう。同じ部屋で異なる色あい=カラーパレットの色を使う場合は、工夫が必要になります。

「そんなときは、色を使ってゾーン分けを」と平井さん。モダンなスタイルのベッド周りに、フェミニンでラグジュアリードレッサーがしっくりこない場合、ドレッサーとベッドに共通する色を探してみましょう。ここでは「白」が共通ですよね。その色のラグをドレッサーの下に敷くと「ごちゃまぜ感が軽減され、まとまりやすくなります」。
同様のテクニックは、子どものおもちゃをリビングルームに置くときにも応用できます。「ここは子どもの場所」と分かるようラグを敷いてゾーニングすることで、その場所だけは散らかってOK、と親子とも割り切りやすくなります。
近年人気のナチュラルな北欧風インテリアなら、写真のようなグリーンのラグが部屋にもおもちゃにも馴染みやすくおすすめです。「カラーをうまく活用して、片付けのストレスを軽減しましょう」と平井さん。リビングにグリーンの小物などを置けば、より全体の統一感を演出できるそうです。

一つの部屋で異なるスタイルを取り入れる場合、色をリンクしてゾーニングすれば良いことが分かりました。「このテクニックで、家族みんなが快適なスタイルを目指してみてください」と平井さん。子どもの成長や家族構成に合わせて、家族の「今」に一番しっくりくるインテリアを作ってみましょう。家族一人ひとりの好みや希望を語り合うことで、お互いをもっと理解し、家づくりもぐんと楽しくなります。

まとまり感をつくるアイテム選びと配置

こうして配色テクニックを学んでいくと、ついついアイテムが増えていきがち。「そんなときも、色の知識の出番です」と平井さん。アイテムを買い足したくなったとき、チェックすべき3か条を教えてくれました。

① 複数あっていいものは、カタチをそろえ、色で遊ぶ

一番身近で分かりやすい例は「クッション」。クッションカバーはお部屋の印象を簡単に変えられるうえ、基本的な形は同じなので、いろんな柄をそろえやすいアイテムです。「選ぶときはお部屋のスタイルから導き出したカラーパレットを外さないで。そこさえブレなければ、意外とまとまるものです」。

大事なのは、スタイルに合った柄や装飾をそろえること。写真のように色がバラバラでも、「ビーズ装飾がある」「房飾りが付いている」といった共通のデザインがあると、統一感を演出できます。

② 一カ所にまとめて、足し算で

キャンドルや小さな照明でおすすめのテクニック。灯りは一つだけ置くと、実用品に見えて生活感が出る原因にも。複数を一カ所に集めることで、「『インテリアとして見せたい』という意図が明確に伝わります」と平井さん。香水瓶やアクセサリーのディスプレイにも応用できるアイデアです。
色味は壁や床のベースカラーに合わせ、寒色系を使っている場合は光の色も白っぽく。暖かみのある灯りは、暖色系のお部屋によく合います。

③ 単色プリントで魅せる、物語性のあるディスプレイ

特に写真を飾る場合には「子どもの成長記録」「海に行った思い出」など、何かテーマを設定するとまとまりやすくなります。壁に写真を飾り、その手前に思い出の品やお土産を置けば、お客様を招いたときの会話のきっかけにも。平井さんは「ただ何となく飾るのではなく、物語性を意識すると良いですよ」と教えます。
写真を単色プリントするのもポイント。暖色系の壁にはセピア色、寒色系の壁にはモノクロで単色プリントした写真を飾りましょう。「いろんな色が散らばった、いわゆる『色の洪水』を防ぎ、統一感と雰囲気のあるディスプレイになります」。

せっかくの新居なら、あてずっぽうで「なんとなくこの色…」と選ぶのは卒業して、おしゃれで、住む人の個性が表れたインテリアを目指したいですよね。今回紹介したさまざまなテクニックで、家族一人ひとりの「好き」が詰まったインテリアをぜひつくってみてください。

取材ライターのつぶやき

似合うファッションやメイクを導き出す「パーソナルカラー診断」は、「スプリング(春)」など四季の4タイプがあります。これがおもしろくて、タイプが同じでも似合う色は少しずつ違うそう。「同様に、それぞれのパーソナルスペースも一人ひとり違う色で彩ってみたらいいと思うんです!」と平井さん。そのときどきの気持ちや様子を反映した、家族の個性が響き合うカラフルなインテリア…考えただけでワクワクします。今回学んだことを活かして、楽しみながら家具をそろえていきたいな、と改めて思いました。

今回のSpecialist 平井芳香 さん

「色で女性を1人残らず幸せにする」をテーマに、パーソナルカラー診断、色のお稽古コース、資格コースなどの色彩講座をカルチャーセンター、オンラインレッスン(一部の講座)にて開催。A・F・T色彩能力検定1級、国際カラーデザイン検定1級。認定NPO法人色彩生涯教育(CLE)協会インストラクター。


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