自慢のわが家をお披露目するホームパーティーを計画してみませんか。リラックスした雰囲気と心を込めたおもてなしで、日ごろなかなか伝えられない感謝の気持ちも伝えられたらすてきですよね。来客を意識することで、掃除を見落としていた箇所や、日常にも生かせる工夫に気づくこともあります。
自宅で料理教室を主宰し、テーブルコーディネーションディプロマの資格も持つ落合葉子さんに、ホームパーティーのイロハを教えてもらいました。
4回目は、落合さんが長年の経験から編み出した、自宅でのおもてなしに便利な厳選アイテムを紹介します。シンプルでいて上品なセレクトは、落合さんならでは。ゲストに「これ、どこの?」と聞かれることも多いそうですよ。
おもてなしの心が伝わる、おすすめアイテム
●おしぼり
コロナ禍になり、おしぼりを使い捨てのものに変えたという落合さん。メーカーによって使用感に差があることが分かり、探し求めて出会ったのが「エフティ・ライフサービス(株)」の「除菌おしぼり」(300個入り6,600円)。「新幹線のグリーン車で出てくるような、厚手でしっかりした感触が気に入っています」。

●スリッパ
「これは実際に悩んでいる方、多いですよね」と落合さん。確かに、ブランドロゴが目立ったり、趣味に合わない柄だったりと、なかなか「これ!」というものに出合えないアイテムかもしれません。落合さんのおすすめは、通販カタログ「ディノス」で見つけたというこちら。「価格も手ごろで、デザインはシンプル。お手入れもラクです」。

▲「ディノス」で購入したスリッパ。10年ほど前に手に入れたときの価格は2,000円程度だったそう。ビニール素材で、水拭き可能。
家の「顔」玄関のしつらえ
玄関には、通年で絵と花を飾ることが多いという落合さん。夏だけは花のもちが悪いため、オブジェなどを置いています。「スペースがある方は、枝ものに挑戦してみてはいかがでしょう。ちょっと特別感のある玄関になりますよ」。生花は手入れの必要があるため、リースやスワッグといった天然素材の雑貨を飾るのもおすすめだそう。ゲストを出迎える場面に、植物の穏やかな雰囲気をプラスしましょう。

▲玄関の棚に、和紙を敷いて一輪挿しとお香を。壁の絵は、かとうゆめこさんのもの
各所にすてきな額がかけられている落合さんの自宅ですが、飾るのは、いわゆる絵画作品にこだわってはいないそう。2000円ほどで買った着物の判型や、おじいさまが幼少期に読んだ布の絵本も額装して飾られていました。お気に入りや家族の思い出をインテリアに取り入れるアイデア、ぜひマネしたいですね。子育て中の家庭なら、可愛らしい“傑作”がきっとあるはず。額や飾り台をうまく使って、家族の作品をセンス良く飾ってみましょう。
季節を伝える布のアレンジ
年中来客の絶えない落合さん宅。季節感を表現するには、洗い替えもできる布アイテムを活用しています。おすすめは、価格も手ごろなクッションカバー。「夏は麻素材、秋冬はベロアで数色を取り揃えて、楽しみます。ラグも同じですね」。

▲落合さん宅の布小物やカーテンなどは、パーソナルインテリアコーディネーターがセレクトしているそう。背景となる庭の雰囲気を生かした、ぱっと目を引くコーナーです。
インテリアのこだわった部分は「なんとなく光っているような気がします」との言葉通り、家主のセンスが垣間見える箇所は目を引くもの。落合さん宅も、あれもこれもと飾り立てず、玄関、廊下、リビングと、角を曲がるごとに一か所「すてき!」と思わせるこだわりがちりばめられていました。生活の場所でもある自宅でのホームパーティーは、日常と地続き。普段から生活を楽しんでいることが伝わるインテリアにこそ、ゲストは心惹かれるのでしょう。
新居のお披露目とあってルームツアーを期待するゲストもきっといるはず。落合さんは「メンバーが揃ったらお食事前に一斉にご案内しては?」と提案します。寝室などプライベート空間は無理に見せなくて大丈夫。「まだ片付いてないから、ごめんなさい」と、さらっと伝えましょう。また「椅子の脚の裏はわたぼこりがつきやすいので、いつも気にしています」と落合さん。準備の最後に、もう一度チェックしておくと安心です。
終了時間と会計について
パーティーにおいて、会計と時間はいつも悩みのタネ。ホームパーティーでも、会費制にするか内祝いを準備しておくか、また、終わるタイミングをどう知らせるかなど、頭を抱える方は少なくありません。落合さんは「パーティーの目的が『お披露目』なので、お金はいただかなくてよいのではないでしょうか」と話します。「当日、新築祝いをいただいた場合は、みなさんがいる場でお礼をお伝えし、内容によっては後日お返しをすると思います」。お返しは一般的にお菓子やタオル、ギフトカタログなどを選ぶ方が多いようです。

▲ゲストとして参加する場合、あらかじめ会費制と言われなければお祝いや手土産を持参しましょう。ただし、目上の方へ現金を贈ることは避けます。
改まったお礼はまた別の機会として、自宅まで来てくれた方に感謝を伝えるプチギフトは用意しておくと安心です。落合さんに、おすすめを聞きました。
「基本的に消耗品で、負担にならない金額のもの、自分が使って良いと思うアイテムです。定番は、奈良にある『吉岡商店』の『かや布巾』や、『IKEA』のキッチンリネン。あとは、余ったお料理で時間がたっても味が変わらなそうなものを『よかったら、召し上がって』とお包みすることもありますね」。
ちょっとした気遣いが、パーティーの余韻を長く楽しませてくれるもの。持ち帰り容器やラッピング用品も、あわせて準備しておきましょう。
終了を伝えるタイミングは、どう告げれば良いでしょう。落合さんは、3時間を目安に、デザートと一緒に出したコーヒーを日本茶に代えるそう(和食の場合は、和菓子+日本茶を食後に出して、その後、コーヒーや紅茶にチェンジ)。様子を見ながら、何回かお茶を変えていると、ゲストの方から「そろそろおいとまします」と声が上がることが多いと言います。

▲「夜のパーティーなら、『キャンドルが消えたらおしまい』なんて合図もステキかもしれません」と落合さん。燃焼時間の目安はキャンドルに表示してあることも多いので、チェックしてみてください。
また、招待するときに「時間は何時頃まで大丈夫?」と尋ねたり、「何時頃まで、食事会を予定しています」という風に、招く側から提案しても失礼にはなりません。事前に共有しておけば、当日に気をもむことも減らせます。「またいらしてくださいね」と気持ちよくお見送りして、パーティーを締めくくりましょう。

▲見送る際は、ホストもゲストも笑顔になるホームパーティーです
取材ライターのつぶやき
実際にゲストを招く機会の多い落合さんから、実体験に基づくアドバイスをたくさんいただきました。おしぼりやスリッパは、ことさらに華美なものではないところが、好感を持たれつつ「分かってる」感じを醸してくれそうです。せっかく人を招くなら、自分自身も気分よく「さあ、楽しんでいってください」と、自信をもっておもてなししたいですもんね。
4回を通して、テーブルコーディネートからレシピ、インテリアやパーティーの進行までまんべんなくお教えいただき、とても勉強になりました。改めて自分のおうちを好きになれそうなホームパーティー、私も挑戦してみます!
今回のSpecialist 落合葉子 さん

食環境プロデューサー木村ふみ氏に師事し、テーブルコーディネーションを学び、ディプロマを取得。市村美佳子氏に10年間師事し、フラワーアレンジメントを学ぶ。
料理研究家松田美智子氏に師事し、現代の家庭料理を学ぶ。
現在は自宅にて料理サロン「Coordinare」を主宰し、料理教室やテーブルコーディネートなど、経験とセンスを生かした独自のスタイルを提案している。
インスタグラムhttps://www.instagram.com/coordinare/

