部屋の印象をガラリと変える照明とインテリアカラーの話

2025.02.05 | インテリア

あこがれの新居、もっと素敵にセンスアップしたい! そんな時に役立つのが「照明」と「カラー」の知識です。
照明は部屋を明るくするだけでなく、温もりやくつろぎ感をプラスするのに欠かせないもの。同じ間取りとインテリアでも、照明の選び方ひとつで大きく印象が変わります。
また、インテリアの雰囲気を大きく左右する「色づかい」。色づかいのルールを知れば、理想のインテリアはグンと実現に近づきます。

フリーのインテリアコーディネーターとして住宅の照明・インテリアを手がける菅昌子さん、そして色の基礎知識とインテリアへの応用について、国際カラーデザイン検定1級などの資格を持ち、インテリアのカラーコーディネートについても教える「色のプロ」平井芳香さんに教えてもらいました。

照明の基礎知識編

部屋に必要な明るさとは

それぞれの部屋に必要な明るさとはどれくらいなのでしょう。
社団法人日本照明工業会からは10畳の部屋でおよそ3900~4899ルーメン、1畳あたり約40wという目安が示されています。
「一方、それぞれの部屋に必要な照明の明るさは、ワット数や照度という基準だけではなく、壁や床、天井の仕上げ材や色などによっても変わります」と菅さん。
例えば、光を反射しやすい白い壁と、光を吸収する黒い壁では照明の効果が変わってくるのだといいます。

色温度でオン・オフを演出

電球を買い足したら、照明の色がちぐはぐになってしまったことがありませんか?
その色にあたるものがK(ケルビン)という単位で示される色温度です。

大きく分けて、電球色、温白色、昼白色、昼光色という4色があります。

同じ空間の照明全体をひとつの色温度で揃えると、すっきりした印象になります。
電球色にも昼白色にもなじみやすい、温白色で統一することをおすすめしますが、照明は白っぽい色がいいという方もいるので、好みに合わせて選ぶのが良いと思います。

一般的に、事務作業や勉強をするシーンでは、青っぽい昼光色の照明が適しているといわれているそう。
全体の照明をひとつの色温度で統一したとしても、局所照明には使用シーンにふさわしい色温度のものを使う方がいいでしょう。

多灯使いでくつろぎの空間を

多灯照明とは、部屋の全体的な照明と、手元など必要な場所を照らす照明を設置すること。
「タスク(局所)&アンビエント(全体)で、お部屋に複数の照明を配置。シーリングライトとダウンライトなどを天井の全体照明にして、フロアスタンドやテーブルライト、スポットライトなどを部分的に取り入れます。設計段階で照明を設置する建築化照明、間接照明を採用するのもいいですね」と菅さん。

作業を行うための明るさを確保し、くつろぎの空間を演出するためにも、多灯使いは必須です。

シーン別おすすめ照明編

リビングには調光機能を

リビングをセンスよく見せるためには、シーリングライトであってもダウンライトであっても、調光式のものを選びましょう。なぜなら、照明でセンスアップするための基本は、照明器具を複数使うことにあるからです。
調光式のものであれば、全般照明(全体的な照明)の明るさを落とすことができ、ブラケットやフロアスタンド、デスクスタンド、ペンダントライトなどを灯すことで、素敵な空間を演出できます

ダイニングには憧れの照明

ダイニングテーブル上のペンダントライトが最適だと思います。ペンダントライトは夜の食事時に点灯させるものですが、家族が集まるダイニングならスイッチをオフにした状態でも大好きなデザインを鑑賞して過ごす事ができます。電気を点けていてもいなくても、その照明の存在だけで、不思議と満足度が増しますよ。

ダイニングは部屋の隅にある間取りが多いので、テーブルの上60~80cmの位置にペンダントライトを吊るしても、邪魔になりにくいのもポイントです。

寝室の明かりは眠りやすい環境を整えて

もちろん寝室でも多灯使いは基本です。ベッドサイドのナイトテーブルにテーブルスタンドを設置したり、ナイトテーブルの上に天井からペンダント照明を下げたり、壁にブラケットを取り付けるといった方法があります。新築時に壁にブラケットを設置していなくても、最近はコンセント式のブラケット照明も多数出ています。

また、眠くなった時にすぐに照明を消せることも大切。リモコン付き照明のほか、部屋の入口だけでなくベッドサイドでも操作ができる3路スイッチにする方法もあります。

色とインテリアの関係を知って、狙いどおりのスタイルに!

ここからは、インテリアカラーについてのお話です。
インテリアのテイストを統一させるには「色あい」をそろえることが大事です。では「色あい」はどのように決めていけばよいのでしょう。

ファッションで実感。あなたの「好き」を「色あい」で表すメソッド

インテリアの好みについて考えることって普段あまりないですよね。ですからいきなりインテリアには行かず、まずはご自身が把握しやすいファッションスタイルから、あなたの好きなテイストを見つけてみましょう。

メソッドは、簡単なチェック項目から始まります。さっそくやってみてください。

あなたが好きな、または憧れるファッションのイメージはどのようなものですか? 心がときめくイメージを、次のキーワードから探してみてください。

「カジュアル⇔ラグジュアリー」「フェミニン⇔マニッシュ」の軸で分類すると、それぞれのテイストの特徴が、はっきりと分かりますね。この分類をインテリアに置き換えるとこんな感じに!

special thanks YASUKO AKAGAWA

平井さんによると、インテリアとファッションの好みは重なるケースが多いそう。ファッションのチャート図と同じ番号の場所を見ていただくと、「いいな」と思えるインテリアがあるのではないでしょうか。

ソファ周りがポイント!色のチカラを活かすコーディネート

お部屋の「色あい」が決まったら、次はその色をどう組み合わせるかです。リビング家具のメイン「ソファ」を中心に、インテリアへの色の取り入れ方を学びましょう。

テーマカラーを決める

好きな色こそが、テーマカラーにふさわしい色です。
参考までに、一般的に言われる「色の持つ意味」をご紹介します。ちなみに、それぞれの色に、白に近い淡い色あいから、黒がたっぷり含まれたダークな色あいまで、幅があります。

【赤】やる気や情熱、エネルギーを表します。食欲増進の効果があるので、キッチンやダイニングにぴったり。
【橙】ぬくもりがあり、居心地の良さを象徴する色。家族が集うリビングやダイニングにおすすめです。
【黄】明るさや希望、幸福をイメージさせる色。コミュニケーションを円滑にする効果があると言われます。
【緑】自然の癒し、優しさを感じさせる色。深呼吸したくなるような空間をつくり、やすらぎをもたらします。
【青】涼やかで落ち着きのある雰囲気をつくる色。気持ちを静める効果があり、部屋を広く見せてくれます。
【紫】神秘的、高貴で、クリエイティビティーを刺激する色。疲労回復の効果があるとされ、寝室に向きます。
【ピンク】愛らしさ、甘さを感じさせる色。女性ホルモンを活性化するともいわれますね。愛情を伝える色です。

配色のルールは70:25:5

ベースカラーは壁や床、天井など、部屋全体の70%を占める色のことを言います。
白を選ぶ方が多いと思いますが、白には「黄みを帯びたクリーム系」「グレイッシュでクールな白」などがあり、バリエーションが豊富な色でもあります。
次にソファやテーブルクロスなど、布物で取り入れたいアソートカラー。
部屋全体の25%の面積を占めるこの部分に、テーマカラーを使います。ソファやカーテンといった布物で取り入れることで、気分や季節によって模様替えを楽しめます。お部屋のスタイルに合った色あいから、春はピンク(赤)系、夏は青系…など、色を使った雰囲気の変化を楽しみましょう。

最後はアクセントカラー。全体の5%、つまり小物やオブジェなどに使う色です。ここはあえて色のトーンを外してみるのも一興。多色使いせず一色に絞ってお部屋の中に分散させてみましょう。

写真のように、照明器具を黒で統一するのもおすすめです。ナチュラルやフェミニンなど柔らかなスタイルのお部屋に取り入れると、簡単に高級感や大人っぽさをプラスできます。

照明のカラーコーディネート

下の2枚の写真を見比べてみてください。ほぼ同じインテリアでも、照明の色によってインテリアの印象が全く異なります。

1枚目の「昼白色」「昼光色」と言われる白っぽい光は、日中の活動や学習に適していると言われます。スッキリと目覚めた朝のような印象ですよね。2枚目の「電球色」と呼ばれる暖かみのある光は、食事やリラックスタイムに向いています。こちらはゆったりとした夜のひとときを連想させます。

また「新居では、『この部屋の、この光の感じが好き』というお気に入りの場所をぜひ見つけてください」と平井さん。窓から入る光は角度や色合いが季節によって変わります。冬の優しい光は、低い位置から差す分、部屋の奥まで届くもの。一方、夏のまぶしい日差しは、真上から降り注ぎ、屋根や植物の影をくっきりと映し出します。「季節ごとの光の変化は、住んでみないと分からないことのひとつ。まるで家族そのもののように、新たな発見を楽しみながら、新居での時間を大切にしてくださいね」。
1日、1シーズン、1年と、移ろいゆく光の色を感じるひとときが、家やインテリアへの愛着をより確かなものにしていくのかもしれません。

 

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