【column】正しい対策でしっかり予防! 熱中症のウソ・ホント〈初級編〉

2025.07.02 | 健康・ペット

今年も、暑い夏になることが予想されています。暑さのピークを迎えるこれからの時期、気をつけたいのが熱中症です。
「対策しているから大丈夫」と思っているあなた、ちょっと待って! 
熱中症の対策法は、近年かなりアップデートされていて、ひと昔前とは違うことも多いのです。
そこで、覚えておきたい熱中症の知識を◯×クイズで出題。初級編、中級編、上級編の3回シリーズでお届けします。

今回は、<初級編>です。

熱中症になりやすい状況とは?

そもそも熱中症は、どんな日に、どのような状況下で起こるのでしょうか。

熱中症は、屋外だけでなく屋内でも起こります。
この夏は、“熱中症リテラシー”を高めて、熱中症を予防しましょう。

では、クイズです。◯か×か、お答えください。

【第1問】熱中症は、健康な成人はなりにくいって、ホント?

正解は×です。

健康に自信のある人や体力のあるスポーツマンでも、状況しだいで熱中症を発症します。自分を過信せず、対策しましょう。

子どもと高齢者は要注意

従来いわれていることですが、特に子どもと高齢者は注意が必要です。
小さな子どもは汗をかく能力が未発達なので、体に熱がこもりやすく、熱中症になったら0歳児ほど死亡率が高いという調査結果もあります。また屋外では、身長が低いぶん地面からの照り返しの影響が大きく、体感温度は大人以上。それはベビーカーも同様です。

通常、気温は150cmの高さで測りますが、東京都心で気温が32.3℃だったとき、幼児の身長である50cmの高さでは35℃を超えています。

また、環境省のデータでは、乳幼児の熱中症死亡事故は、特に0歳と1歳の発生が多くなっています。眠っていて起こすとかわいそうという理由で、クーラーを入れ車のエンジンをかけたまま、保護者が車を離れた際に発生した例が報道されています。(出典:環境省保健部環境安全課『熱中症環境保健マニュアル2022』より)

子どもの顔が赤い、大量に汗をかいている場合は、すぐに涼しい場所へ移動し、水分や塩分を補給してください。もちろん、車内放置も絶対にダメ。クーラーをかけていても、オーバーヒートを起こせばエンジンは停止します。

高齢者は、温度やのどの渇きを感じにくくなるため、熱中症リスクが増大します。室内でもかかりやすくなるため、ご自身はもちろん、周囲の人も注意してあげましょう。

<ワンポイント>「熱中症は、誰でもなる」と心得て、自分を過信せずに対策しよう!

【第2問】たくさん汗をかいたときの熱中症対策に、経口補水液は有効?

正解は○です。

汗には塩分が含まれているため、たくさん汗をかくときの水分補給に経口補水液は有効です。経口補水液に含まれる塩分は、汗と同等の0.3%程度。糖分も含み、水分とともに適度な塩分を素早く体に吸収させることができます。

経口補水液とスポーツドリンクを同じものととらえている方がいるかもしれませんが、スポーツドリンクは糖分が多め。脱水が気になるときの水分補給は、経口補水液のほうが望ましいといえます。

とはいえ、どちらも飲み過ぎはよくありません。水やお茶なども併用しながら、汗をかいたら経口補水液も利用して、適度に塩分も補いましょう。

<ワンポイント>たくさん汗をかく日の熱中症予防には、スポーツ飲料より経口補水液が効果的。

【第3問】炎天下での水分補給は、冷たい水よりぬるめのほうがいい?

正解は×です。

体温の上昇を抑えるためには、冷たい水を飲むのが正解。そのため、ぬるい水より、5℃〜15℃程度の冷たい水で、体の中から冷やすことを心がけましょう。それも、継続的に飲みつづけることが大切。炎天下に長くいるような日は、すぐぬるくなるペットボトルではなく、保冷効果のある大きめの水筒を持ち歩くほうが安心です。
暑い日は冷たいビールが恋しくなりますが、アルコールで水分補給はできません。

アルコールは体内で熱に変わり、体をあたためる作用があるため、余計にのどが渇いてしまいます。利尿作用も強く、脱水症状を起こしやすくなるため、十分注意が必要です。

<ワンポイント>冷たい飲み物で体の中から冷やすのも、熱中症対策には◎。

取材ライターのつぶやき

私の夏は、野外での音楽フェスがつきものなのですが、つい、冷たいビールが飲みたくなります。でも、これが危険な行為だとは…。ビールは帰宅後のお楽しみにして、昼の野外では経口補水液も活用しながら、しっかり水分補給しようと思います。

今回教えていただいた先生 北九州市立八幡病院 救急科部長 北村 拓也 さん

東京慈恵会医科大学医学部卒業。同大学病院救急科を経て、2025年より現職。


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