暑い夏が、やってきました。この暑さで心配になるのが、熱中症です。熱中症は、誰の身にも起こる可能性があり、寝不足や疲れがたまっているときは、特に発症しやすいともいわれます。
「対策しているから大丈夫」と思っているあなた、ちょっと待って！　
熱中症の対策法は、近年かなりアップデートされていて、ひと昔前とは違うことも多いのです。
そこで、覚えておきたい熱中症の知識を◯×クイズで出題。初級編、中級編、上級編の３回シリーズでお届けします。

今回は、＜中級編＞です。

熱中症になるとどうなる？

熱中症になると、どんな症状が起こるのかご存知ですか？
気づかずに見過ごすと、症状が長引くだけでなく、悪化すると命の危険もあります。
特にお子さんや高齢者は、周りが気をつけてあげてください。

暑さや湿度で不快な日は特に、このような症状があったら熱中症を疑って水分補給や休息をとることが肝心。
この夏は、“熱中症リテラシー”を高めて、熱中症を予防しましょう。

では、クイズです。◯か×か、お答えください。

【第1問】汗を拭いても、またすぐに汗をかくときは、汗を拭く必要はない。

正解は×です。

皮膚トラブルを防ぐためにも、汗は拭いたほうがよいでしょう。汗を放置していると、「あせも」や「汗かぶれ」を起こしやすくなり、服が汗で濡れると雑菌が繁殖して臭いの原因になります。拭くときには、乾いたタオルでも構いませんが、濡らしたハンカチやウエットティッシュなどだと、水分で気化熱が発生して体温を下げることができます。刺激も少ないため肌にやさしく、さっぱりしますよ。さらに汗の塩分も除去できるので、汗をかいたあと気になる服の白浮きを防ぐ効果も期待できるようです。

ただし、ゴシゴシ拭いたり、こすったりするのはNG。肌が傷つくと、皮膚の表面にいる細菌に感染して「とびひ」のような感染症を起こすことがあります。あせもをかいたときの引っかき傷から、とびひになることも多いので、特にお子さんは気をつけてあげてください。

＜ワンポイント＞汗は、濡れハンカチで拭くと、すっきり、さっぱりして、肌トラブルや臭いの防止に！

【第2問】暑い日に運動したほうが、痩せやすい？

正解は×です。

体の基礎代謝は、気温が高いと下がります。代謝が下がると消費エネルギーが減るため、痩せるには運動量を増やす必要がありますが、暑い日の過度な運動はリスクも高く、おすすめできません。確かに、汗はたくさんかきますが、それがダイエットにつながるとは言い難いのです。
むしろ、気温が高いときの運動は危険です。28℃以上で熱中症の危険が増すとされ、31℃を超えると「厳重警戒（激しい運動は中止）」、35℃以上では「原則中止」という指標が、「暑さ指数（WBGT）」をもとに設けられています。

気温はあくまでも目安で、湿度や輻射熱、風の状態によって状況が異なるため、夏の日の運動、特にランニングや激しい運動は、十分注意すべきです。

＜ワンポイント＞暑い日の運動は、熱中症のリスク大。控えるようにしましょう。

【第3問】暑い日中を乗り切れば、夜、熱中症になる心配はない？

正解は×です。

昼間が暑いと、その熱が壁や天井にたまり、夜になってから室温が上がることがあります。眠っている間は水分補給もできないため、睡眠中に熱中症になることがあるのです。寝ているときに熱中症の症状に気づくことは難しく、朝には重症化してしまう可能性もあります。十分気をつけるようにしましょう。

夜間熱中症を防ぐには、涼しくして眠ることが第一。エアコンを使って睡眠環境を整えるようにしてください。寝る前と起床時には、コップ１杯の水分をとると、脱水を防ぐことができます。

また、日中は暑いなかでも元気だったのに、夜になって体調が悪くなるような場合は、時間がたってから熱中症の症状が現れているのかもしれません。発熱や激しい倦怠感、吐き気など熱中症の症状があり、昼間の水分補給が不十分だったと感じている場合は、水分を補給し、適度に塩分もとって、体を休めてください。それでも治らないときや症状がひどい場合は、受診をおすすめします。意識が遠のくようであれば、迷わず救急車を呼んでください。

＜ワンポイント＞夜になって室温が上がることもあるため、エアコンで部屋を涼しく、体調変化に注意しよう。

取材ライターのつぶやき

これまで熱中症を自分事としてとらえにくかったのですが、去年、私も熱中症になりました。自己診断ではありますが、外出後、数時間がたってから尋常でない倦怠感に襲われ、あとになって「あれは熱中症だった」と自覚。他人事ではないと痛感しております。暑い日は、無理をしないよう気をつけたいと思います。

今回教えていただいた先生 北九州市立八幡病院 救急科部長　北村 拓也 さん

東京慈恵会医科大学医学部卒業。同大学病院救急科を経て、2025年より現職。