知っておきたい親の介護予防|介護保険の基礎知識①

2026.08.26 | 暮らし全般

「介護保険」は、多くの現役世代にもかかわりのある公的制度ということをご存知ですか? しかも、「介護」のためだけでなく、「介護予防」の目的でも利用することができるのです。 そこで、知っておいて損はない制度の基礎知識を北九州市保健福祉局介護保険課の竹内俊哉さんに教えてもらいました。

介護保険とは?

介護保険は、「高齢者が利用するもので、自分には関係ない」と思っている人も多いかもしれませんが、この国に住む40歳以上の人全員が加入する公的制度です。介護や介護予防が必要な人が、自立した生活を続けるために、能力に応じた支援を受けることができます。

「介護保険は、介護や介護予防が必要な人を社会全体で支えるために生まれた制度です。介護保険の運営主体である『保険者』は、お住まいの市区町村です。40歳以上の住民のみなさんは『被保険者』になり、条件に適合すればサービスを受けることができます」と竹内さんは説明します。

被保険者は、年齢によって2つの区分に分かれています。
「第1号被保険者」は、65歳以上の人です。この区分の人は、介護や支援が必要であると「認定」を受けることで、サービスを利用できます。
「第2号被保険者」は、40〜64歳までの人です。この区分の人は、末期のがんや脳血管疾患など、加齢により生じる16種類の病気(国が定める特定疾病)が原因で介護や支援が必要になった場合のみ、「認定」を受けることができます。

元気なうちから制度の概要を理解しておくことで、将来の安心感につながります。この機会に、介護保険の基本を押さえておきましょう。

<POINT>
介護保険は、40歳以上の人が全員加入する公的制度。社会全体で、介護が必要な人を支えていると理解しておきましょう。

介護保険料について

40〜64歳の人は、加入する医療保険と一緒に介護保険の保険料を納めています。給与明細などを確認すると、医療保険の保険料の中に「介護保険分」という記載があるので確認してみてください。金額は、医療保険の算定方法によって決定されています。

65歳以上の人は、住んでいる市区町村に保険料を納めます。金額は、その地域で必要な介護サービスの費用などをもとに、所得に応じた段階別で設定されています。そのため、お住まいの自治体によって納める額は異なります。

「介護保険料は、必ず期日までに納める必要があり、滞納するとペナルティが課せられます。65歳以上の方の介護保険料は、生活の負担にならないよう各自治体できめ細やかな設定がなされています。ですが、もし「支払いが厳しい」と親御さんがおっしゃっているのであれば、多くの自治体が負担を軽くする制度を持っています。条件などもありますので、まずはお住まいの地域の役所にご相談ください」と竹内さんはアドバイスします。

こうして納められた介護保険料と公費を財源に、介護保険は運営されています。そのため利用者は、実際にかかる費用の1〜3割の自己負担でサービスを受けることができるのです。

<POINT>
40歳〜64 歳の人は、加入している医療保険と合算で、65歳以上は市区町村に、保険料を納めています。金額は、それぞれで算定方法が異なるため、一律ではありません。これらを財源に、介護保険は運営されています。

「認定」を受けるまでの流れ

ご両親が65歳以上で、生活に困りごとを感じていれば、「要介護・要支援認定の申請」を行うことでサービスを受けられる可能性があります。

① 申請
申請書は、役所や地域包括支援センター、地域交流センターなどにあります。自治体のホームページからダウンロードできる場合もあるので、確認してみてください。
申請を行えるのは、本人または家族です。ケアマネジャーが代行することもできます。

② 認定調査・主治医意見書
自治体の調査員が自宅を訪問し、本人から心身状態や生活の状況について聞き取りを行います。できれば家族も同席してあげたほうが、ご本人も安心でしょう。
併せて、主治医(かかりつけ医)に、心身の状態についての意見書作成を依頼します。必ず主治医に申請することを伝えてから、申請を行ってください。

③ 一次判定
全国共通のコンピュータソフトを用いて、介護の手間を推計します。

④ 二次判定
認定調査の結果と主治医意見書をもとに、保健、医療、福祉などの専門家による認定審査会で審査し、どの程度の介護や支援が必要かを判定します。

⑤ 認定・結果通知
認定結果は、文書で本人に通知します。申請から認定通知までにかかる時間は、およそ30日です。

<POINT>
申請には主治医からの意見書が必要なので、事前の受診は必須です。できれば、申請の検討段階から主治医に相談し、意見を聞いておくといいでしょう。申請から認定結果が出るまでの期間の目安は、30日です。

認定の種類

認定には、7段階あります。日常生活は自分でできるものの、少し支援が必要な状態を「要支援」といい、程度に応じて2段階あります。一方、自分一人では日常生活が厳しい状態を「要介護」といい、1〜5までの段階に分かれます。

認定結果が、「非該当」となることもあります。その場合は、介護保険を利用することができませんが、65歳以上のすべての人は、自治体が実施する介護予防の取り組みに参加できます。地域の実情に応じ、高齢者サロンや体操教室、栄養講座など、さまざまなプログラムがあるので、ご両親にも活用をおすすめください。

「介護保険を使わないで済むのであれば、それに越したことはありません。ご自身でできることは、ちょっと頑張ってみる。そうすることで体の機能は維持でき、健康寿命を延ばすことができます」と竹内さんは話します。

一方、「要支援1・2」の認定を受けた場合は、介護予防サービスを受けることができます。支援を受けることで、状態の悪化を防ぎ、自立した生活に戻ることをめざします。具体的にどのようなサービスを利用できるのか、詳しくは、次回の配信でお届けします。

<POINT>
申請を行えば、誰でも「認定」を受けられるわけではありません。非該当の場合でも、自治体が行う介護予防の取り組みに参加することで、介護予防につなげることができます。

取材ライターのつぶやき

この取材をするまで、自分も「介護保険」の加入者であるという自覚はありませんでした。介護を自分事として考えたことはありませんでしたが、それではいけないと実感。親の行く道は、自分もいずれ通る道ですから、健康に年齢を重ねるにはどうすればよいか、真剣に考えたいと思います。

 

今回のSpecialist 竹内 俊哉 さん

北九州市保健福祉局で介護保険を担当。「介護予防のためには、40歳くらいから将来を意識した取り組みが必要です」と、若い世代にも予防の重要性を伝える。


関連記事