【column】いや〜な虫を家に入れない方法|カメムシ編

2023.09.27 | 住まいのメンテナンス

虫たちの活動が活発になる春から秋にかけては、家に入れたくない害虫も増える時期。快適な暮らしを守るために、早めの対策が大切です。
そこで、害虫駆除のエキスパート、有限会社モストップ取締役の白井良和さんに効果的な対策をお聞きしました。
第4回目は、刺激を与えると強烈な臭いを発するカメムシです。戸建てだけでなくマンションの高層階にも出没。「大量発生」というニュースを聞くこともあるため、住宅への侵入を防ぐ方法や対策を覚えておくと安心です。

カメムシは、どこにいる?


カメムシには多くの種類がいて、体は緑色や茶色、黒、模様の有無など、見た目もさまざまです。春から秋にかけて活動する種類が多いのですが、越冬するタイプのなかには住宅への侵入を試みるチャレンジャーもいます。

「大量発生」が起こるのは、たいてい秋。快適な越冬場所を求めて一斉に移動することで、住宅街にも多くのカメムシがやってきます。

カメムシは、農作物や草花が大好物です。なかでも豆類を好み、家の近くに豆類の畑があったり、家庭菜園で豆類を育てていたりすると、カメムシを寄せつけやすくなります。作物の葉裏に大量の卵を産みつけることもあるため、もしご家庭で育てている作物にカメムシがついていたり、卵らしいものを見つけたりしたときは、駆除しておくことが大切です。

雑草を刈って、庭やベランダをすっきりとさせておく必要もあります。刈り取った雑草を放置していてもカメムシを寄せつけることがあるので、速やかに処分しましょう。

侵入経路はどこから?

1.洗濯物から侵入

洗濯物についたカメムシ

あたたかいと活発に活動するカメムシは、外に干している洗濯物につくことがあります。洗濯物への被害は秋に起こりやすく、注意が必要です。

2. 窓や網戸の隙間から侵入
カメムシは平べったい体をしているため、網戸とサッシの隙間からでも難なく侵入できてしまいます。気になるところには、隙間テープで対応しましょう。防水タイプのものを選ぶと安心です。100円ショップでも入手できます。

3. 雨戸、窓、網戸の開閉時に侵入
外から飛んできたカメムシは、網戸についたり、雨戸や窓のレールに潜んでいたりします。そのため、洗濯物を取り込むちょっとした時間でも、開けっ放しにすることで部屋のなかに入り込む可能性があります。越冬しようとする種類もいるため、秋〜冬も要注意です。

ミントの匂いでカメムシを撃退

草木が大好きなカメムシですが、ミントやバジルなどのハーブにはつきません。ミント系の香りを嫌うため、自然由来の成分で侵入対策を図ることもできます。市販のハッカ油を水で薄めて窓周辺にスプレーしても効果アリ。植物抽出エキスを使ったカメムシ忌避剤も市販されています。

特に9月以降は、越冬場所を求めて集団で移動する可能性が高くなります。忌避剤で先回りした対策を打ちましょう。

カメムシ退治でのNGとは?


網戸についたカメムシ

カメムシは刺激やストレスを受けることによって悪臭を放つため、駆除する際に刺激を与えないよう注意する必要があります。以下のNG行為を取らないよう、くれぐれもご注意を!

<やりがちなNG行為>
・たたく
・掃除機で吸い取る
・カメムシがついた洗濯物を激しく振る

<悪臭を出させないために>
・ティッシュでふんわりと包んで捕獲
・粘着テープで仕留める
・牛乳パックやペットボトルを捕獲器にして、軽くつついて中に入れる
・市販の殺虫剤で駆除

カメムシの臭いをとるには?

不運にも捕獲時に悪臭の反撃を受け、手に臭いがついた場合は、サラダ油やオリーブオイル、クレンジングオイルなど、油系のものを使うと臭いが落とせます。

洗濯物に臭いがついたら、界面活性剤入りの洗剤でその部分だけを洗い流したり、スチームアイロンやドライヤーで熱を当てたりする方法が有効です。

カメムシの臭い成分は水溶性のものでは落とせないため、水や石けんではあまり効果がありません。悪臭で嫌な思いをしないために、臭い除去の方法を覚えておくとよいでしょう。

取材ライターのつぶやき

カメムシの臭いはもちろんイヤですが、「あのフォルムが嫌い!」という方も多いのではないでしょうか。私はカメムシを寄せつけないために庭でハーブを育てています。が、今度はハーブにアブラムシがついてしまいました。でも虫たちの生存権を考えると、自然界に生息する虫の駆除ではなく、家への侵入対策を第一に考えるべきですね。ということで、アブラムシは大目に見ることにしました。

今回のSpecialist 白井良和(しらいよしかず) さん

害虫防除技術研究所代表、有限会社モストップ取締役、医学博士。
京都大学の昆虫学研究室にて農業害虫の殺虫剤抵抗性を研究後、殺虫剤メーカー研究部にてゴキブリ用ベイト剤を研究、開発。その後東京都の害虫駆除業者にて、ゴキブリ、ネズミ、ハチ、チョウバエ、ノミバエ、ダニ、蚊などの駆除に携わり、蚊駆除業務を柱に千葉県で有限会社モストップを創業。現在では蚊、ゴキブリ、不快害虫などの対策商品を、害虫を用いて効果確認する試験や、Web記事や雑誌の監修、動画投稿などを行っている。


関連記事