【column】いや〜な虫を家に入れない方法|アリ編

2023.11.08 | 住まいのメンテナンス

虫たちの活動が活発になる春から秋にかけては、家に入れたくない害虫も増える時期。快適な暮らしを守るために、早めの対策が大切です。
そこで、害虫駆除のエキスパート、有限会社モストップ取締役の白井良和さんに効果的な対策をお聞きしました。
最終回に取り上げる害虫は、行列をなす姿にゾッとするアリです。戸建て住宅だけではなく、マンションでも1階は要注意。アリがついた植木鉢を家に持ち込むことで、侵入を許す可能性もあります。アリ対策のポイントをご紹介します。

マンションも侵入の可能性アリ!


「アリは甘いものが好き」というイメージがありますが、糖分だけでなく、お菓子や食品のくずなど、小麦粉やごはん、動物性タンパク質が好物です。戸建てやマンションの1階部分へ侵入する場合は、食品のニオイをかぎつけてやってくることがほとんど。床やテーブルに食品のくずが長い間放置されていると、アリに狙われます。

庭などに植木鉢を置いている場合、土の上に直置きしていると鉢のなかに巣をつくられる可能性があります。その鉢を室内に入れてしまえば、アリの巣を部屋に招き入れることに! 植木鉢を屋外に出す場合は、その下に必ず水受け皿を置いて、鉢内に巣をつくらせないようにしましょう。



マンションの高層階なのに家のなかでアリを見つけたのであれば、植木鉢に棲みついている可能性があります。「1匹だから大丈夫」「マンションだから問題ない」と油断していると、あっという間に鉢のなかがアリだらけになり兼ねません。アリは初夏から夏にかけて繁殖期を迎え、数が増えます。植木鉢からアリが出入りしているのを目撃したら、毒餌剤(ベイト剤)を置いて、巣まるごとの駆除を試みてください。

アリが行列をつくるのは、なぜ?

室内で見つけた1匹のアリを駆除したのに、翌日また同じところでアリを見かけた。そんな経験はありませんか? これは、1匹目のアリがマーキングをしていたから。アリはエサを見つけると、道しるべフェロモンを出して仲間にエサのありかを知らせる習性があります。このフェロモンつきの道をたどってアリが次から次へと侵入するために、行列となるのです。

殺虫剤と毒餌剤で効果的に駆除

アリを1匹でも見つけたら、すぐに駆除しましょう。エサになりそうなものを片付けて、アリが通っていた道に殺虫剤をふりかけておくことで、2匹目以降の侵入を防ぐことができます。

アリの行列にも、殺虫剤が有効です。ただしアリは小さくて軽いため、殺虫剤の風圧で吹き飛ばしてしまう可能性があります。用心しながら行ってください。
スプレータイプの殺虫剤のなかには、プッシュするだけで数か月効果が持続するものもあります。侵入予防にもなるため、ラクな対策につながります。
アリの通路となっていた場所に、毒餌剤を置いておくのもアリ対策になります。毒餌を持ち帰り、巣ごと壊滅させることができます。

家への侵入を防ぐには?


アリがどこから侵入しているのかを確認できれば、対策も立てやすくなります。
窓の隙間からであれば、その部分を隙間テープなどでふさぐ。植木鉢であれば、鉢内の巣を撃退させるため、毒餌剤や液体タイプの殺虫剤を使うなど、適材適所な対応が必要です。

そのうえで、室内に食べかすを散らかしたままにしたり、ふたを閉めずに食品を置きっぱなしにしたりしないことが重要。こまめな掃除を心がけ、生ゴミ類を入れた袋は口をしっかり縛って、ためずに処分しましょう。

取材ライターのつぶやき

これまで5回にわたって害虫の対策法をご紹介してきました。いかがだったでしょうか。地域や居住環境によって直面する危機はさまざまですが、もし室内で害虫を見つけると、完全に退治してしまうまで不快感や緊張感が続くことになります。快適な暮らしのためには、侵入予防がイチバン!ひと手間かけて先手を打ち、大好きなおうちと暮らしを守っていきましょう。

今回のSpecialist 白井良和(しらいよしかず) さん

害虫防除技術研究所代表、有限会社モストップ取締役、医学博士。
京都大学の昆虫学研究室にて農業害虫の殺虫剤抵抗性を研究後、殺虫剤メーカー研究部にてゴキブリ用ベイト剤を研究、開発。その後東京都の害虫駆除業者にて、ゴキブリ、ネズミ、ハチ、チョウバエ、ノミバエ、ダニ、蚊などの駆除に携わり、蚊駆除業務を柱に千葉県で有限会社モストップを創業。現在では蚊、ゴキブリ、不快害虫などの対策商品を、害虫を用いて効果確認する試験や、Web記事や雑誌の監修、動画投稿などを行っている。


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