【column】住まいのメンテナンス|キッチン、浴室、トイレ編

2024.11.27 | 住まいのメンテナンス

夢がいっぱい詰まったマイホーム。できるだけ長く、快適に住み続けるためには何をしたら良いのでしょうか。
そこで、店舗や住宅などのインテリア設計・施工、リノベーションを手掛ける一級建築士の古森 健一さんに住まいのメンテナンスについて教えてもらいました。
第1回目は、キッチンや浴室、トイレなど「水回りのメンテナンス編」です♪

水回りのメンテナンスって?

キッチンやバスルーム、トイレ、洗面所などの水回り。毎日必ず使う場所だからこそ、きれいにしておきたいですね。

古森さんによると、水回りにメンテナンスが必要な状態は4つに分けられます。

〈1.掃除=日常的な使用による汚れがある状態〉
例:調理台やコンロの油汚れ、バスルームのカビ

〈2.修理、交換=故障や破損によって、設備として使えない状態〉
例:水栓からの水漏れ、給湯器の故障

〈3.修繕=経年による見た目の変化〉
例:掃除では落ちない汚れ、材質の劣化が目立つ

〈4.リフォーム=生活スタイルや身体の変化により、使いにくさを感じる状態〉
例:収納が足りない、便利な設備を新たに使いたい

例えば「バスルームの樹脂部分が日焼けして黄ばむ」「掃除しているのに、洗面所のシンクや床が何となく汚れてみえる」といった現象は、(3)経年による見た目の変化です。(4)は、家族構成の変化や料理をする人が変わったなどの理由で大規模なリフォームなどが必要になる場合もあります。ただし、(3)と(4)は洗面所やバスルームなどの機能が使えなくなる訳ではないので、特に対策をしない方も多いそうです。

(1)については、掃除やマンションの管理組合による定期清掃で対応していく部分。
今回は特に(2)に注目して、水回りのメンテナンスについて教えてもらいました。

知っておきたい、設備の交換目安

新居にあるピカピカの設備も、使い続けるうちに確実に摩耗して古くなっていきます。
「例えば、システムキッチンの調理台が突然割れることは想像できないし、実際ほとんどありません。では、どこが壊れるのかといえば、電気を使って動いている設備です。簡単にいえば、『動く部分は壊れやすい』ということです」と、古森さん。
キッチンビルトイン型の生ごみディスポーザーや食器洗浄機、トイレのウォシュレット、換気扇など、電気を使うものは壊れやすい傾向があります。また、水栓のように物理的に力を加えて切り替える仕組みは、年数が経つと破損や劣化が起きることがあるそうです。
 使用頻度にもよりますが、家電と同じく10年から15年で修理・交換が必要になると考えた方がいいそうです。

水回り設備と、故障の例

「設備が壊れる時には、必ず前兆があります。使用すると異音がする、以前よりも音が大きく感じる、効果が薄いなどの変化があった場合、状態が元通りになることはほぼありません。ちょっとした違和感をなかったことにせず『壊れそうだ』という認識をはっきり持っておくことが大切だと思います」

メンテナンスにどう備える?

「設備から異音がする」「効き目が悪い」「水栓からいつの間にか水が漏れている」など、設備に異変を感じたら、どうすればよいのでしょうか。
「設備が本当に動かなくなる前に、修理の心づもりをしておきましょう。壊れるギリギリまで何の準備もせずにいると、急に修理や交換を依頼することになります。そんな状況では、日程のやりくりや金銭面でも余裕がなくなり、急ぎの工事では代金が高くなることがあります」。

異変を感じた段階で準備をしておくと、家族や生活への影響が最小限で済むうえ、型落ちした同等品などを使えるラッキーなケースもあるそうです!

もっと住みやすい家にするために

故障や不具合は、一定の使用回数を超えた段階で出てくることが多いもの。例えば、同じマンションに住んでいる住人が浴室やトイレをリフォームするタイミングも参考になることがあるそうです。
「設備の修理や交換をする時にまとめて水回りのリフォームを考える方も多いので、近所の方がどんな工事をしたのか、可能な範囲で情報収集すると参考になると思います。また、水回りの製品はどんどん便利な新製品が出てくるので、10年、15年など長期的なメンテナンスの計画を立てて、その都度最新のものを取り入れていくのも良いのではないでしょうか」。

水回りについては、「突然、水が止まらなくなった」「トイレの水があふれてきた」といった緊急事態が起きる場合があります。止水栓の場所や適切な相談先を把握し、とっさの対応についてもおさらいしておきたいものですね。

取材ライターのつぶやき

マンションに大規模修繕工事があることは知っていても、いずれ住戸の設備メンテナンスが必要になることはなかなか想像できませんでした。自宅もそろそろ築15年を越え、浴槽やトイレの改修をする方が増えてきました。住んでいる時間が長くなると家族構成や健康状態も変わっていくので、うまく取り換えのタイミングが合えばもっと居心地の良い住まいが実現できそうですね。

今回のSpecialist 古森 健一(ふるもり けんいち) さん

一級建築士として、店舗や住宅のインテリアデザインやリノベーション、施工工事を手がける。
株式会社 インテリア フルモリ 代表取締役


関連記事