虫たちの活動が活発になる春から秋にかけては、家に入れたくない害虫も増える時期。快適な暮らしを守るために、早めの対策が大切です。
そこで、害虫駆除のエキスパート、有限会社モストップ取締役の白井良和さんに効果的な対策をお聞きしました。第1回は、絶対に侵入を阻止したい害虫の代表選手、ゴキブリです。新築でも油断は禁物ですよ!
春〜秋に大繁殖!新築でも要注意!

ゴキブリは1年中活動していますが、気温が25℃〜30℃で繁殖期を迎えます。そのため春から対策を始めることが肝心です。特に新築の場合、水が通っていない排水管から侵入することが多く、台所や洗面所、風呂場での遭遇率が高くなります。ただ、新居ではエサが十分ではないため、目撃したからといって繁殖しているとは考えにくく、もし見かけても侵入しただけの可能性が高いといえます。
引っ越し時にいなかったからといって、油断は禁物。ゴキブリは湿度が高くて薄暗い場所を好むため、新聞紙や段ボールを積んだ場所でも繁殖することがあります。引っ越しで使った段ボール類はなるべく早く処分して、ゴキブリを寄せつけないようにすることが大切です。
侵入経路はどこ?
住宅への侵入経路は、戸建て、マンションともに、以下の通りです。
・ベランダ
・玄関
・窓
・洗面所下の排水管の隙間
・洗濯機の排水口
・エアコンのホース

洗面所の排水管には、こんなに隙間が!
玄関ドアや窓を開けっ放しにするのはもってのほかですが、閉めていてもわずかな隙間から侵入することがあります。
ゴキブリは水分を好み、優れた嗅覚で生ゴミや食品のニオイをかぎつけます。ほこりや髪の毛もエサになるため、人間の家は格好のすみかとなるのです。侵入後は、下駄箱、冷蔵庫の裏、コンロの下、洗面所の棚の中、床に置いた物の隙間など暗がりに隠れます。人目につかない天井に身を潜めることもあります。
植木鉢やプランターには、卵を産みつけられる危険もあります。侵入を許し、卵を産まれたら、知らないうちにどんどん繁殖して……。おぞましい展開を防ぐためにも、とにかく1匹たりとも家に入れないことが重要です。
侵入を防ぐには?
第一に侵入経路をふさぐこと。第二にゴキブリが好む環境をつくらないこと。この2本立てで、ゴキブリの侵入を防ぎましょう。
●侵入経路のふさぎ方
① 布粘着テープでふさぐ
洗面所の下にある排水管と洗濯機排水口の隙間を布粘着テープやパテなどでふさぎましょう。紙テープは粘着力が弱くて不向きです。

洗面所の排水管の周りに粘着テープを貼って侵入をブロック
② 隙間テープでふさぐ
網戸とサッシの隙間には、防水の隙間テープを。百円ショップでも購入できます。
③ エアコンのホースには防虫キャップ
エアコンからの排水を屋外に流すホース(ドレンホース)には防虫キャップ(百均で購入可能)や網、ストッキングを巻いて対策。
④ 薬剤で経路を遮断
経路となる場所にゴキブリ用粘着トラップや毒餌剤を置いたり、スプレータイプの駆除剤を吹きつけたりすると、さらに効果アップ。また、入居前にゴキブリ用の燻煙剤を使用するのも有効です。
●ゴキブリが好む環境をつくらないために
① 引っ越し時の段ボールは早く処分
段ボールには前の住居からゴキブリがついている可能性があります。早く荷解きして、処分しましょう。
② ニオイを出さない
調理クズや残飯を入れた袋は口をしっかりしばって、ためずにゴミに出しましょう。
③ 食品を放置しない
汚れたままの食器を翌朝まで放置するのは禁物。お菓子のクズを床に落としたままにしておくのも、格好のエサになります。
④ 洗濯機周りに物を置かない
隠れる場所をつくらないことで対策になります。洗面所の髪の毛も要注意。こまめな掃除を心がけましょう。
⑤ 寝室の髪の毛やフケはエサになる
寝室は湿気がこもりやすく、髪の毛やフケはエサになります。ベッド下のほこりも気をつけて。
ゴキブリ発見!効果的に退治するには

さまざまな薬剤が市販されていますが、目的に合わせて使い分けると効果的です。もしゴキブリを見つけた場合は、お試しください。
●出てきたゴキブリを確実に仕留めるには
・ゴキブリ用エアゾール
●取り逃した場合は
・ゴキブリ用粘着トラップ
・ゴキブリ用ベイト剤(毒餌剤)
・ワンプッシュ型ゴキブリ用スプレー
・ゴキブリ用燻煙剤
●ゴキブリの死骸を見たくない、あるいは直接手を下したくない場合
・ゴキブリ用ベイト剤(毒餌剤)
・ワンプッシュ型ゴキブリ用スプレー
快適な暮らしを守るために、「新築だから」と安心しないで、早くからの対策をおすすめします。
もしかして潜んでいる?フンを見つけたら要注意!
エアコンの下やクローゼットの隅に、1〜2mm程度の黒い粒や正体不明の茶色い液体があったら、要注意! それはゴキブリのフンかもしれません。フンに含まれるフェロモンが仲間を呼び寄せるため、見つけたらすぐに掃除して、駆除を始めてください。エアコンの場合は、専門業者に清掃を依頼するのも一案です。とにかく早く対策を打ちましょう。
取材ライターのつぶやき
「ゴキブリ」とタイピングする指が震えるほど、Gが苦手です。だからこそ、「絶対に侵入を許すまい」と自らへの誓いを込めて取材に臨みました。
以前、マンションの9階に住んでいたときは、網戸の外側にGが張り付いているのを目撃し、卒倒しました。ヤツらは飛びます。9階程度は朝飯前なのかもしれません。エレベーターにも乗ると聞きました。マンションの高層階でも油断せず、対策することを強くおすすめします。
今回のSpecialist 白井良和(しらいよしかず) さん

害虫防除技術研究所代表、有限会社モストップ取締役、医学博士。
京都大学の昆虫学研究室にて農業害虫の殺虫剤抵抗性を研究後、殺虫剤メーカー研究部にてゴキブリ用ベイト剤を研究、開発。その後東京都の害虫駆除業者にて、ゴキブリ、ネズミ、ハチ、チョウバエ、ノミバエ、ダニ、蚊などの駆除に携わり、蚊駆除業務を柱に千葉県で有限会社モストップを創業。現在では蚊、ゴキブリ、不快害虫などの対策商品を、害虫を用いて効果確認する試験や、Web記事や雑誌の監修、動画投稿などを行っている。

