ペットと暮らす住まいの工夫|イマドキの飼育マナーとは?

2026.06.24 | 健康・ペット

自分の家をもったら、ペットを飼おう。そんな夢をもつオーナーさんも多いのではないでしょうか。日本のような住宅環境でペットと幸せに暮らすには、マナーや工夫が必要です。そこで公益社団法人日本愛玩動物協会の竹田千寿(たけだ ちず)さんに、ペットを飼育する心得をお聞きしました。
第1回は、飼い主のマナーについて、犬と猫を飼育する際のポイントをお伝えします。

参考資料:『飼い主のマナーハンドブック』『ペット共生マンションの適正化推進ガイドライン』(ともに公益社団法人日本愛玩動物協会発行)

イマドキの飼育マナーとは?

最近では、ほとんどの飼い主が犬や猫を室内で飼っています。夏の暑さや感染症のリスクを考えると、やはり室内飼いがベスト。しかし、マンションのような集合住宅や住宅密集地の戸建てでは、ご近所への配慮が求められます。

日本愛玩動物協会の竹田さんは、「飼育マナーも以前とは異なります。昔は犬が住宅地の生垣におしっこをする光景がよく見られましたが、いまはタブー。もちろん、散歩時のフンの回収は常識です。イマドキのマナーを知ることが、トラブル防止の第一歩になります」といいます。

知らず知らずのうちにマナー違反をして、周りに迷惑をかけることがないように、基本を心得ておきましょう。

フン尿始末のマナー

【犬の場合】

・排泄場所
望ましいのは、自宅で、ペットシーツの上でするようしつけることです。排泄物を見れば、健康状態も把握できます。
マンションの場合、ベランダや専用庭での排泄は、近隣に臭いが広がる可能性もあるため、NGです。排泄物をベランダに放置するのもやめましょう。
戸建てでも、庭に排泄物を置きっぱなしにすると、悪臭や害虫を引き寄せる原因になるため、フタ付きのゴミ箱に片づけるなどの臭い対策は必須です。

・散歩時
フンをしたら、必ず回収します。新聞紙やペットシーツで受け止めると、周囲を汚しません。もし地面を汚してしまったら、拭き取るようにしましょう。
おしっこは、側溝や排水溝の近くでさせ、終わったら水で流してください。そのための水も、散歩時には持参しましょう。消臭剤を吹きかけておくと、臭い防止になります。散歩時でもペットシーツの上で排尿させるに越したことはありません。

※マーキングしたがる場合
オス犬のマーキング対策には、マナーベルトの装着を検討してみてください。手作りもできます。毛色にマッチする布でつくると、愛犬のおしゃれ度もアップしますよ。

<竹田さんチェック!>
排泄は家のなかで済ませるのが基本です。家のなかで排泄をしたごほうびとして、散歩に行くようにするのもよいでしょう。
散歩のとき排泄したおしっこに少量の水をかける飼い主の方は多いと思いますが、排水溝などにしっかり流せるくらいの水をかけなければ、ただおしっこを広げるだけになってしまいますので、注意しましょう。

【猫の場合】

・猫用トイレ砂の処理
猫の場合、排泄は室内の猫用トイレでさせていることがほとんどかと思いますが、猫用トイレ砂の処理には配慮が必要です。トイレに流せるタイプの猫用トイレ砂であっても、水を吸うと固まるタイプは、大量にトイレに流すと詰まって逆流する可能性があります。そのため、流せるタイプでも一度に多く流すのは危険。節水トイレに流すことも、おすすめできません。
猫用トイレ砂を処理するときには、地域の廃棄ルールを確認しましょう。可燃ごみとして出す場合も、人目についたり、臭いが出たりしないよう、新聞紙で包むなど工夫してください。これは、犬の排泄物を始末するときも同様です。

<竹田さんチェック!>
猫のトイレは、汚れていたりほかの猫が使っていたりする場合を考えて、頭数+1個用意してあげると安心です。

足音の対策

フローリングは音が響きやすいので、マンションで飼っている場合は、厚めのカーペットやコルクマットを敷いて足音を防ぎましょう。滑り予防にもなるので、犬や猫を足腰の疾患から守ることもできます。

【犬の場合】

爪が伸びていると大きな足音や滑りの原因になるので、定期的な爪切りもお忘れなく。

<竹田さんチェック!>
大きなループ状のカーペットや毛足の長いカーペットはペットの爪や足が引っかかり、ケガの原因になることがあります。できるだけ毛足の短いものにするとよいでしょう。

【猫の場合】

猫は、夜中に興奮して走り回ることがあるため、マンションでは足音が響く可能性があります。対策として、夜遅くなる前に飼い主が一緒に遊んであげると、興奮する時間帯をずらすことができます。猫には犬ほどの持久力がないので、短時間であっても全力で遊んであげれば、満足して眠ってくれます。
また、いつも飛び降りる場所には、厚手のマットや座布団を敷き、階下への音や振動を防ぎましょう。足腰の負担も減らすことができ、一石二鳥です。

<竹田さんチェック!>
犬同様に、カーペットは毛足の短いものにするとよいでしょう。

鳴き声の対策

【犬の場合】

大声で吠えている犬に「ダメ!」といっても聞いてはくれませんが、正しく教えれば吠える頻度を減らすことができます。吠えるには犬なりの理由があるため、その理由を理解しないままに叱っても、解決にはならないのです。しつけをするには、なるべく早いうちがベスト。しかし、自己流で正しく教えるのは難しいため、かかりつけの動物病院に相談したり、しつけ教室に通ったりして、プロの力を借りましょう。

<竹田さんチェック!>
吠えることは、犬にとって正常な行動です。しかし、頻度が多いと人間社会のマナーを守って暮らすことができません。犬のトレーニングは、飼い主さんが適切な方法を覚えることが肝心。しつけ教室に行く際は、飼い主さんも一緒に参加できる場所を選びましょう。

【猫の場合】

不妊・去勢手術をすることで、ほとんどの場合、近所迷惑になるような鳴き方はしなくなります。不妊・去勢は、乳腺腫瘍や精巣腫瘍などの生殖器疾患にかかりにくくなるといった効果もあるため、繁殖をさせる予定がなければ、手術を検討しましょう。

<竹田さんチェック!>
不妊・去勢手術をすることで、生殖器疾患の予防につながるだけでなく、猫にとっても発情のストレスがなくなるといったメリットがあります。ペットがみだりに繁殖しないよう適切な措置を講じるよう努めなければならないことは、「動物の愛護及び管理に関する法律」にも飼い主の責務として規定されています。

ブラッシングのマナー

庭やベランダでのブラッシングはタブーです。抜け毛やフケが風に乗って隣家の洗濯物についたり、部屋に入り込んだりすると、ご近所トラブルの原因になりかねません。犬や猫の毛は、動物アレルギーの人にとって大敵でもあるので、ブラッシングは窓を閉めた室内で行ってください。

毛がついた布団や洗濯物をベランダで叩くのも、控えたほうがいいでしょう。粘着ローラーや掃除機などで除去して、ペットの毛は外に出さないように配慮することが大切です。

<竹田さんチェック!>
公園などの公共の場所で犬のブラッシングをしている飼い主を見かけることがありますが、これはマナー違反。抜け毛をそのまま放置すると、周囲に迷惑をかけてしまいます。ペットの毛でアレルギーを発症する人もいるため注意が必要です。

<POINT>
排泄物や抜け毛など、ペットから出るものはすべて自宅内での処理が基本。鳴き声は、犬であればしつけで、猫は不妊・去勢手術で対策できます。また、窓から見える人影などに過剰に反応する場合には窓が見えない場所にケージを移動するなど、環境を整えてあげることで解決することもあります。
ペットとの生活を楽しむためにも、周囲への配慮を忘れずに、マナーをしっかり守るようにしましょう。

取材ライターのつぶやき

長く住みつづける地域でのご近所トラブルは、絶対に避けたいもの。マナーを心得た飼育であれば、ペットを介して新たな出会いや楽しいコミュニケーションが生まれるかもしれません。マナーを守ることは大切だなと、つくづく感じました。

取材協力/公益社団法人 日本愛玩動物協会

 

今回のSpecialist 公益社団法人日本愛玩動物協会 事業部 課長 竹田 千寿 さん

公益社団法人日本愛玩動物協会は、設立48年を迎えた公益法人。設立当初から、動物の正しい飼い方の普及啓発活動を行っています。また、正しい知識の普及啓発のために、「愛玩動物飼養管理士」や「ペット共生住宅管理士」、「ペットオーナー検定」などの教育事業などを行っています。


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