ペットの安全を守るのは、飼い主の役割です。特に、一日の大半を過ごす家庭内での事故は、飼い主の配慮で防ぐことができます。場所に応じた事故防止の具体策を、公益社団法人日本愛玩動物協会の竹田さんにお聞きしました。
参考資料:『飼い主のマナーハンドブック』『ペット共生マンションの適正化推進ガイドライン』(ともに公益社団法人日本愛玩動物協会発行)
室内事故への備え

お部屋の場所によって、害になるものや危険なシチュエーションはさまざま。どこに危険が潜んでいるのか、以下を参考にご自宅の状況をチェックしてみましょう。
玄関・ベランダ

ちょっと油断したスキに玄関やベランダからペットが外に出てしまうと、遠くまで逃げてしまい行方不明になるリスクがあります。特に猫は要注意。外に出ることに慣れている、いないにかかわらず、思いもよらない行動をとることがあるので、対策が必要です。
対策①ペットフェンスの設置
玄関ドアを開けた瞬間に外に飛び出してしまうことがあります。
玄関ドアの手前にもう1枚扉を付けることで、脱走を防ぎます。リフォーム業者に依頼すれば設置できますが、自分で取りつけるタイプも市販されていますので、探してみるのも一案です。
猫の脱走防止のためにペットフェンスを設置する場合は、猫が飛び越えられない高さのものを選ぶようにします。
対策②首輪&迷子札・マイクロチップの着用
もし迷子になっても、保護されたら帰ってこられるよう、飼い主の連絡先を記した首輪を必ずつけておきましょう。
個体識別の手段としては、マイクロチップが有効です。マイクロチップは首の背中側の皮下に挿入しますが、痛みはほとんどありません。犬は2週齢、猫は4週齢ごろから埋め込むことができ、リーダー(読み取り機)をかざして個体番号を読み取ります。
マイクロチップを装着したら、必ず環境省のデータベースに飼い主情報を登録してください。
対策③網戸や引き戸にストッパー
猫は、網戸や引き戸を開けることができるので、ストッパーの設置をおすすめします。ペット用の丈夫な網戸に取り替えてもよいでしょう。
<竹田さんチェック!>
来客や配達などで玄関ドアを開けた瞬間、スルッと愛猫が外に出てしまったという事例はよく聞きます。ペットフェンスの設置のほか、室内に猫がいることが来客にわかるようなステッカーをインターフォンや玄関ドアなどに貼っておくのも有効です。
居室

飼い主と一緒に過ごせる居室は、ペットにとっても安心できる場所……のはずですが、ペット目線での対策がなければ、危険だらけの場所になってしまいます。動物は思いもよらない行動をとるという前提で、しっかり対策しましょう。
対策①熱中症予防
犬や猫は、汗をかいて体温を調節することがほとんどできません。そのため暑さに弱く、特に犬は熱中症にかかりやすいので要注意です。なかでも、シーズーやパグのような鼻先が短い犬種やシベリアン・ハスキーなどの北方原産の犬、高齢の犬、子犬、肥満の犬はリスクが高いといえます。ペットと過ごす部屋は早めにエアコンをつけ、快適な温度を保つようにしましょう。
対策②フローリングにはコルクマットを
フローリングの床は滑りやすいため、足腰に大きな負担をかけてしまいます。床にコルクマットや毛足の短いカーペットなどを敷くと滑りにくく、足音も響かないため、マンションでも安心です。ただし、敷くカーペットの形状には注意が必要。ループ状や毛足の長いものは、爪や足が引っかかりやすいので、必ず確認してください。
対策③ブラインドで爪の引っかかりを防止
爪は、レースのカーテンにも引っかかりやすいので要注意。ブラインドやロールスクリーンにするなどして、対策しましょう。

対策④電気コード・プラグを保護
ヒモ状のものは魅力があるようで、電気コードはかっこうのおもちゃになってしまいます。通電中にかじると感電の可能性があるため、保護チューブなどで対策しましょう。また、電源プラグにおしっこをかけてしまうと、ショートの危険もあります。電源プラグはカバーや家具で隠すなど、ペットが届かないように工夫しましょう。
対策⑤開け放しのドアにはストッパー
ドアにペットの足やしっぽを挟まれると、ケガの可能性があります。風で勢いよく閉まることもあるので、ドアを開け放したいときはドアストッパーを用い、飼い主がドアを開閉するときも注意深く行いましょう。リフォームの予定があれば、ペットが行き来できる小さい出入口(ペットドア)がついているドアに変えたり、壁に穴を開けて出入口(ペットドア)をつけたりしてしまうのも一案です。
対策⑥観葉植物や花は置かない
観葉植物の多くは、ペットにとって有害です。なかには、食べてしまうと中毒を起こして死に至るものもあります。ユリやチューリップなど、花も有害なものがあるので、観葉植物や花は、ペットが過ごす部屋には置かないほうが安全です。

対策⑦棚に敷物は敷かない
猫が棚やタンスに上がったとき、そこに敷物があると、敷物ごと落下してケガをすることがあります。
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ポメラニアンなどの骨が細い犬種では、ソファから飛び降りたときに骨折してしまうケースも。高いところから飛び降りる行為は足腰に負担がかかることもあるので、特に小型犬ではソファやベッドの横にステップを置くなどの工夫をしましょう。また、ユリ科の植物は、花や葉だけでなく、花粉や活けている水にも毒性が含まれているので注意しましょう。
キッチン

キッチンには、ペットたちにとって魅力的なものがたくさんあります。入り口にキッチンガードなどを取りつけて、なかに入ることができないようにしてください。低いガードは猫には無意味なので、全面を覆うもので対策するか、難しい場合は入られたときのことを考えて、なるべく物を置かないのがベスト。ここでは、盲点になりがちなポイントを紹介します。
対策①フタつきのゴミ箱
ペットたちにとって、ゴミ箱の中身には興味津々です。なかを荒らすだけでなく、食べてほしくないものを口にする可能性もあります。生ゴミだけでなく、プラスチック類も要注意。食品のついたラップをなめている間に、飲み込んでしまうかもしれません。必ずフタつきのゴミ箱を設置しましょう。
対策②使用済みの油は収納
使用済みの油を置きっぱなしにしていると、なめてしまい、体調を壊す原因になります。見えるところに油は置かないようにしましょう。
対策③食品は扉つきの棚へ
食品類は、必ず扉つきの場所に収納しましょう。ペットにとって魅力的なものは、見えないようにしまうのが鉄則です。
対策④火気や蒸気は要注意
炊飯器の蒸気や調理中のガス台や鍋などに近づくとヤケドのおそれがあります。また、一部のテフロン加工のフライパンの煙は、動物にとって有毒。使用する場合は、よく換気してください。
<竹田さんチェック!>
温かい炊飯器のうえで暖をとる猫は多いですが、炊飯中は熱い蒸気が出るので危険です。また、料理中は熱い鍋や包丁、いろいろな食べ物などがキッチンに並びますので、キッチンへのペットの出入りを制限できないのであれば、料理中はペットをケージの中に入れたり、別の部屋に移動させたりしたほうが安心でしょう。
洗面所・風呂場

洗面所や風呂場には、洗剤やカビ取り剤など有害なものがたくさんあります。必ず扉つきの場所、もしくはペットには届かない場所に収納しましょう。
対策①浴槽の湯は抜く
お湯をはったあとの浴槽のフタのうえは暖かいので、浴室に出入りできる環境では、そのうえで寝る猫は多いものです。しかし、浴槽の湯を張ったままにしておくと、フタをしていなかったり、猫が飛び乗った拍子にフタがずれたりして、浴槽に落ちて溺れたりする可能性があります。ペットは浴室に入れないようにするか、浴槽の湯は必ず抜くようにして、万が一に備えましょう。
対策②石けんやつけ置き洗いを置きっぱなしにしない
洗面所や風呂場に石けんを置いていると、かじったりなめたりして中毒を起こすことがあります。つけ置き洗い中も、水をなめられることがないよう注意しましょう。
<竹田さんチェック!>
洗面所や浴室は、ペットに有害な洗剤が置いてあったり、洗濯機に入っている服の中に入り込んでしまったりと、危険の多い場所。できればペットは出入りできないようにしておくほうが安心です。<POINT>
室内で起こるほとんどの事故は、飼い主の備えで防ぐことができます。ペットにとって有害なものは最初から置かないようにし、部屋の整理整頓を心がけることが大切。ペットの安全を守れるのは飼い主だけ。そのことを忘れないようにしましょう。
取材ライターのつぶやき
室内での事故でもっとも多いのは、異物の誤飲だそうです。飼い主がちょっと目を話したすきに起こることがほとんどなので、油断は禁物。小さな子どもと同じように、ペットとの暮らしでも私たちが先回りして安全を確保することが大切です。命をあずかる責任を改めて感じる機会となりました。
取材協力/公益社団法人 日本愛玩動物協会

今回のSpecialist 公益社団法人日本愛玩動物協会 事業部 課長 竹田 千寿 さん

公益社団法人日本愛玩動物協会は、設立48年を迎えた公益法人。設立当初から、動物の正しい飼い方の普及啓発活動を行っています。また、正しい知識の普及啓発のために、「愛玩動物飼養管理士」や「ペット共生住宅管理士」、「ペットオーナー検定」などの教育事業などを行っています。
公益社団法人日本愛玩動物協会 webサイトhttps://www.jpc.or.jp/
愛犬とおでかけするときのマナー(動画)https://www.jpc.or.jp/study/r16/

