最近ではペットと暮らせるマンションが増え、ドッグランや足洗い場など専用の設備を備えている物件もあります。ペットをきっかけに、楽しい交流が生まれることもあるでしょう。しかし、マンションには動物が嫌いな人やアレルギーのある人も住んでいるため、配慮が欠かせません。そこで、公益社団法人日本愛玩動物協会の竹田千寿さんに、マンション飼育の注意点をお聞きしました。
参考資料:『飼い主のマナーハンドブック』(公益社団法人日本愛玩動物協会発行)
マンション飼育の注意点

マンションには、「専有部分」と「共用部分」があります。
専有部分とは、自室のこと。ですが、自室に備えられているベランダや専用庭は、「専用使用権が認められた共用部分」になります。
一方の共用部分は、エントランスやエレベーター、廊下、駐車場や植栽など、ほかの住民と共有して使用する場所のことをさします。共用部分にペットを連れ出すときは、やはり配慮が必要です。
そこで、シチュエーション別の注意点をご紹介します。
ベランダ・バルコニー・専用庭
バルコニーや専用庭で、ペットを飼育することはできません。トイレを置いたり、ブラッシングをしたりするのも、臭いや抜け毛で近所に迷惑をかけるのでNGです。
自宅のベランダと隣家のベランダとの間に仕切り板が設けられている場合は、下の隙間からペットが逃げてしまう可能性があります。しかし、ふさいでしまうと、緊急時の避難に影響があるかもしれません。仕切り板や避難はしごのハッチ付近に、ペット用ケージなどを置くのも禁止です。こうしたことから、ベランダやバルコニーにはペットを出さないほうがよいでしょう。
<竹田さんチェック!>
ペットはベランダに出さないことが大原則ですが、小型犬やネコの場合、うっかり出てしまったときに柵の隙間から落下する可能性があるため、万が一に備えてネットやフェンスの設置をおすすめします。設置の場合は、事前に管理組合などに相談してください。ベランダの仕切り板の下をネットでガードする際は、避難に支障がないように細心の注意をはらいましょう。
また、ペット共生マンションでは、専用庭にペット用の足洗場がついている物件も。物件によって、専用庭などのペット利用のルールは異なるので、規約などで確認しましょう。
エレベーター

エレベーターのような狭い空間にペットを乗せるときは、抱っこか、キャリーバッグに入れるのがマナーです。抱っこの場合も、リードは必ずつけておきましょう。
エレベーターに「ペットボタン」があれば、必ず押してください。ペットが乗っていると知らせることで、ほかの利用者は同乗するかどうかを判断できます。
住民が乗っているエレベーターにペットを連れて乗り込む場合は、「一緒に乗ってよろしいですか?」とひと声かける配慮が必要です。また同乗者が多いときは、乗るのを遠慮したほうがいいでしょう。住まいが低層階であれば、階段を使うことも検討してみてください。
<竹田さんチェック!>
エレベーターはいろいろな人や動物が利用するので、いろいろな臭いがする場所でもあります。それが刺激となって排泄してしまいやすいので、排泄防止のためにもキャリーバッグや抱っこは有効です。
過去には、リードをつけて先を歩いていた犬だけがエレベーターに乗った状態でドアが閉まってリードが挟まれ、エレベーターが動いたことで犬が宙吊りになったり、同様の状況でリードを持つ飼い主さんが手を骨折したりするなどの事故も起きています。安全のためにも、エレベーターでは抱っこかキャリーバッグを利用したほうがよいでしょう。
エントランス

エントランスでも、ペットは抱っこかキャリーバッグに入れた状態を保ちましょう。広い空間だからと自由に歩かせると、エントランスの大きなガラス戸や自動扉にぶつかったり、挟まったりするおそれがあります。エントランスからの飛び出しも危険。交通事故にあったり、通行人を驚かせて思わぬ事故を引き起こしたりといったトラブルのリスクが潜みます。
人とすれ違う機会の多いマンション周辺では、ペットを地面に下ろしてからもリードを短く持ち、いつでも動きをコントロールできるようにしておきましょう。
<竹田さんチェック!>
エントランスも、エレベーター内と同様にペットが排泄してしまいやすい場所なので注意が必要です。大型犬など、抱っこやキャリーバッグでの移動が難しい場合には、マナーベルトやマナーパンツの装着も検討しましょう。
共用部のソファ・ベンチ

エントランス備えつけのソファには、ペットを座らせないようにしましょう。
敷地内にある屋外のベンチにも、できれば座らせないほうがいいでしょう。座らせる場合は、マットなどを敷いてから座らせるなどの工夫が必要です。
ほかの住民が不快な思いをしないよう、飼い主には配慮が求められます。
駐車場

飼い主がマンション住民専用の駐車場を借りている場合でも、駐車場は「専用使用権が認められた共用部分」です。散歩コースに使うことは避けましょう。よその車を傷つけても大変ですから、ペットを車に近づけないよう気をつけたほうが安心です。
<竹田さんチェック!>
運転手からは体高の低い犬は見えにくく、事故につながりやすい場所です。
駐車場内を犬と移動するときは、リードを短くもってしっかりコントロールしましょう。
花壇・植栽

土があるところをペットに歩かせると、土を掘り返したり、おしっこをしたりして、花や木を傷めることがあります。動物には有害な植物がある可能性もあるため、花壇や植栽に入れないようにしましょう。
<竹田さんチェック!>
屋外であっても、共用部分で排泄をさせるのはマナー違反。ペットが土を掘り起こしたり、おしっこをしたりしたことで植栽が枯れてしまった場合、マンションの管理組合や管理会社などから責任を追及されることも。みんなが気持ちよく過ごせるようにマナーを守りましょう。
ペット専用設備

足洗い場やトリミングルームなど、ペット専用の設備をもつマンションも増えてきました。使用したら、きれいに掃除するのがマナーです。次の人が気持ちよく使えるよう、飼い主同士で思いやりの心をもちましょう。
また、利用動線がペット飼育者とそれ以外の住民で分けられている場合は、必ずペット飼育者のルートを使ってください。
<竹田さんチェック!>
マンションによっては、入り口に排泄物を捨てるダストボックスの設置や専用ドッグランがある物件も。いずれもマナーを守って利用しましょう。
<POINT>
マンションには、住民全員で空間や設備を共有する「共用部分」があり、そこでは、飼い主のマナーが問われます。住民の誰もが気持ちよく過ごすために、細やかな配慮を心がけましょう!
取材ライターのつぶやき
ペット専用の設備を備えたマンションがあるとは、この取材をするまで知りませんでした。マンションでも飼いやすくなったとはいえ、配慮はやはり重要です。ご近所の目線でわが家を見返し、好ましくない行動をとらないよう気をつけるべきだと感じました。
取材協力/公益社団法人 日本愛玩動物協会

今回のSpecialist 公益社団法人日本愛玩動物協会 事業部 課長 竹田 千寿 さん

公益社団法人日本愛玩動物協会は、設立48年を迎えた公益法人。設立当初から、動物の正しい飼い方の普及啓発活動を行っています。また、正しい知識の普及啓発のために、「愛玩動物飼養管理士」や「ペット共生住宅管理士」、「ペットオーナー検定」などの教育事業などを行っています。
公益社団法人日本愛玩動物協会 webサイトhttps://www.jpc.or.jp/
愛犬とおでかけするときのマナー(動画)https://www.jpc.or.jp/study/r16/


